婚姻費用について

夫婦やパートナーの別居中に、しばしば問題となるのが、生活費や婚姻費用の分担を巡る問題です。

ひびき法律事務所は、離婚に関する諸問題と併せ、婚姻費用分担請求を夫婦間の衡平を図る重要な手続と考えています。

ひびき法律事務所と所属弁護士

離婚問題・男女問題に対する取り組み

ひびき法律事務所は昭和63年に北九州に開設された法律事務所です。

ひびき法律事務所は、その開設以来、離婚問題を中核的な業務の一つに位置付け、離婚問題の解決に取り組んでまいりました。

現在、弊所の弁護士は、北九州市立男女共同参画センターから、「離婚講座の講師」・「離婚相談の担当」の委託を受ける、福岡県弁護士会北九州部会において「両性の平等委員会の役職」に選任されるなどしており、弊所が長期にわたって男女問題に取り組んできた実績に対する信頼が形となって表れています。

ひびき法律事務所は、今後も離婚問題を中核業務の一つに据え、離婚・男女問題の適正な解決に尽力します。

所属弁護士

ひびき法律事務所には、現在ベテランから中堅、若手まで合計5名の弁護士(内女性一人)が在籍しています。

【所属弁護士】

  1. 山上 知裕
    出身 北九州市若松区出身   昭和57年登録 (登録番号18139)
  2. 油布 剛
    出身 大分県 平成19年登録 (登録番号35800)
  3. 河合 洋行
    出身 北九州市小倉北区 平成23年登録 (登録番号44360)
  4. 仲地 あや子
    出身 沖縄県那覇市出身 令和元年登録 (登録番号58567)
  5. 山本 耕作
    出身 大分県延岡市出身 令和4年登録 (登録番号 61818)

婚姻費用の分担請求について

ひびき法律事務所は、婚姻費用分担請求を、夫婦間の公平を図る重要な業務に位置付けています。

婚姻費用分担請求とは

離婚とともに離婚に先立って、夫婦が別居することは、少なくありません。

そして、夫が家を出ていくケース、妻が家を出ていくケース、いずれのケースにおいても、夫婦が、その生活費についてどのように負担・分担するかは往々にして問題となります。

この点に関し、民法は、「夫婦は、その資産、収入、その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する」(民法760条)と定めています。

この分担義務に対する履行を求めるのが、婚姻費用分担請求です。

夫婦同等レベルの生活水準の維持が必要

上記の分担義務は、両性の平等という理念に基づき、夫婦の公平を確保するための規定です。

夫婦が別居中の場合、この婚姻費用の分担義務に基づき、収入が多い側は、収入の少ない側に対して、その生活レベルを同等に行いうる程度の負担をしなければなりません。

この婚姻費用には、通常の衣食住の費用の他に、子どもの教育費や医療費、交際費など、通常の社会生活を維持するのに必要な費用を含むものと理解されています。

女性の社会進出が進んでいるとはいえ、北九州あるいは全国的に見ても、まだまだ夫の収入水準が妻の収入水準を大きく超えているという家庭が少なくありません。

そのため、現状、多くの場合、婚姻費用の分担の請求は、妻から夫に対する請求という形で問題となります(もちろん、妻の収入水準が夫より高ければ夫から妻に請求することもありえます。)

婚姻費用分担請求の金額

婚姻費用の分担にかかる金額は、合意によって決めることができます。

たとえば、妻から夫に婚姻費用を支払ってほしいと請求する場合に、夫と妻との間で協議ができ、互いに納得できる合意ができるのであれば、婚姻費用の分担の金額は、合意した金額に定まります。

合意が整わない場合 家庭裁判所の手続が必要

他方で、夫婦が不仲となって別居している場合に、互いに納得できる合意をするための協議が十分にできるかというと、難しいケースが多いように思われます。

こうした場合、婚姻費用の金額は、家庭裁判所の調停や審判手続を通して定めていくことになります(後述)。

算定表について

裁判所が金額を定める場合、その金額はどのように決まるのでしょうか。

上記婚姻費用の分担に関する規定は、夫婦の平等確保を基本とする規定とする規定ですので、その金額は、過剰であっても過小であってもなりません。

また、裁判所という公の機関がこれを決める以上、一定の透明性・事例ごとの衡平性(つり合いが取れていること)が必要となります。

そこで、裁判所が利用しているのが、いわゆる婚姻費用の算定表です。この算定表は、裁判所が主体となって作成した婚姻費用・養育費の基準ともいうべき表です。

算定表は、夫婦の年収や子供の数、年齢に応じて、婚姻費用の目安が分かるように作成されています。北九州の福岡家庭裁判所小倉支部も、調停手続等において、この算定表で示された算定基準を非常に重視してます。

婚姻費用の算定については個別事情の考慮が必要

ただ、算定表は、あくまで簡易算定を目的とするものですので、最終的・具体的な金額の算定には、個別事情の考慮が不可欠です。

たとえば、以下の各記事で紹介するような住宅ローン・家賃の問題、生活費の問題、子供の教育費の問題、その他、もろもろの事情が考慮対象となります。

住宅や家賃に関して考慮すべきこと

参考:妻が持ち家に住んでいて家賃無しのケースについて

参考:妻が実家に住んでいる/実家からの金銭的な援助がある場合について

参考:金額の算定に対する住宅ローンの影響について

生活費について考慮すべきこと

参考:借金の返済義務があることは費用の分担額に影響するかについて

参考:水道光熱費や通信費・車両費等の控除の可否について

参考:「マンション管理費/修繕積立金/駐車場代等」の控除の可否について

子どもの教育に関して考慮すべきこと

参考:私立学校などの学費・授業料の負担について

参考:学習塾費用・習い事代について

その他、婚姻費用の算定に際して考慮すべきこと

参考:借金の返済義務があることと婚姻費用の分担額について

参考:預貯金を権利者が持ち出して管理している場合について

婚姻費用分担請求の方法

別居中の夫婦の一方に婚姻費用の分担請求をする場合に利用される手続きは次の3つです。

話し合い(協議)

一つめの方法は、話し合い・協議による方法です。

婚姻費用の分担請求は、相手に対して、口頭や電話でしてもよいし、メールや書面でしてもかまいません。

きちんと合意さえできれば、その協議の方式に定めはなく、夫婦間で決めることができます。

調停

当事者間の話し合い・協議で折り合いがつかない場合や、話し合い自体が困難な場合、その分担額等を定めるのに利用されるのが家庭裁判所の婚姻費用分担調停です。

家庭裁判所への申し立てによって開始します。

調停では、家庭裁判所の調停委員の関与のもとで、婚姻費用の支払いについての話し合いが行われます。また、その手続中、往々にして、裁判所が考える適正金額が当事者に開示されます。 

審判

もっとも、婚姻費用分担調停は、あくまで話し合いによる合意を前提とする解決を目指す手続です。そして、当事者の合意がまとまらず、調停が不成立で終わるということもままあります。

こうした場合は、調停手続はさらに審判手続という手続に移行します。

この審判手続は、上記二つの手続(話し合い(協議)/調停)と異なり、当事者の合意ではなく、裁判所が、婚姻費用の金額を定める手続です。

審判手続では当事者の合意が前提とされませんので、裁判所は、当事者の一方が絶対に婚姻費用を払わないと拒否している場合でも、裁判所は審判を成立させて婚姻費用の金額等を定めることが可能です。

【離婚請求と同時になされることもある】
婚姻費用の分担請求は、夫婦が別居しているときに問題となる請求です。他方で、すでに夫婦仲が相当程度が悪化している場合、別居と同時並行で離婚の問題も表面化します。この場合、離婚の請求と同時に婚姻費用の分担請求も行われます。例えば家庭裁判所に対して、離婚調停の申立てと同時に婚姻費用分担調停の申立を行うなど、二つの手続が同時になされることも少なくありません。

 

婚姻費用分担の請求始期

婚姻費用の分担は、別居終了時又は離婚成立時までとなるのが一般的です。

では、反対に、その始期はいつになるのでしょうか。ここでは、婚姻費用を請求しうるスタート地点(始期)について考えてみます。

過去に遡って請求できるか

婚姻費用分担に関する事件に関し、別居開始当初に遡って婚姻費用を分担してもらえないか、という相談が多く寄せられます。

たとえば、別居開始後1年たった後に初めて婚姻費用を請求するケースで、過去1年分の婚姻費用を請求できないか、という相談です。

この点に関し、別居開始時からと解釈する見解もあり得ますが、現在の実務上の通説的な立場は、請求できる婚姻費用算定の始期(スタート地点)を「権利者が義務者に対する請求を行った時点」と理解しています。

この実務上の通説的立場に従えば、上記のケースで請求できる婚姻費用は、婚姻費用請求時点からの金銭に限られ、別居開始後1年分の婚姻費用負担分を遡って請求することはできないということになります。

早めの請求とその証拠化が重要

上記の通説的立場に立つと、婚姻費用を請求する側からすれば、別居開始早々に、婚姻費用を請求しておくことが重要となります。

きちんと請求して、その「請求意思」を明確にしておけば、別居開始の早い時点を始期とした婚姻費用の分担請求が可能になるからです。

全ての調停・審判例で同一の結論になるとは限りませんが、実際に、婚姻費用を請求した事実や日時が内容証明郵便やメール等で明らかにされる場合,往々にして、請求月が婚姻費用分担の始期と取り扱われます。

請求した事実の証明が必要になる

もっとも、請求が行われたかは、証拠上明らかにされる必要があります。

この請求の事実が有ったか無かったかを巡って後で争いになった場合、請求した事実は、婚姻費用の支払いを求める側が証明しなければなりません。

そのため、現に婚姻費用を請求した場合には、請求した事実そのものを証拠化しておくことが重要です。

証拠化の手段 内容証明郵便

証拠化の手段としては、内容証明郵便があります。

弁護士が相手方に初めて婚姻費用の支払いを請求する場合には、内容証明郵便を利用するケースがほとんどです。

内容証明郵便を利用すれば、郵送した書面の記載内容及び、その書面が到達した事実を証明することが可能になるからです。

ひびき法律事務所(北九州)の弁護士にご相談ください

婚姻費用分担請求は、夫婦間の衡平を図る極めて重要な手続です。また、別居に際して、早期に解決しなければならない問題の一つでもあります。

弁護士によるサポート

ひびき法律事務所では、早期かつ適正な解決に向けて依頼者を全力でサポートします。

弁護士は、婚姻費用分担に関する協議はもちろん、調停の申立て、主張書面、証拠書面の提出等、婚姻費用の請求に必要な煩雑・複雑な手続きをご本人に代わって行うことが可能です。

弁護士費用の目安

弁護士費用の目安は次のとおりです(外税)。ご参照いただけますと幸いです。

本案請求(協議・調停・審判)

着手金10 万円~20万円程度
報酬依頼者が得た経済的利益による。

※月額金額及び支払が見込まれる年数等によって定める(2年分の10%が目安)

備考※1 離婚協議・調停・訴訟などと同時に受任するときは、上記の額の2分の1

強制執行手続

相手が婚姻費用を任意に支払ってくれない場合に強制執行を弁護士にご依頼される場合の費用です。

弊所の弁護士が、婚姻費用分担調停や審判手続などを受任していた場合

執行手続経済的利益の額着手金報酬
300 万円以下の場合2%4%
300 万円を超え3000 万円以下12.5%+2.25 万円2.5%+4.5 万円
3000 万円を超え3 億円以下0.75%+17.25 万円1.5%+32 万円
※経済的利益は、婚姻費用の2年分をもって算定する。
※最低着手金の額は、5万円
※地方裁判所に対する財産開示・第三者情報開示の手続はそれぞれ5万円

弊所の弁護士が婚姻費用に関する本案を受任していなかった場合

執行手続経済的利益の額着手金報酬
300 万円以下の場合4%8%
300 万円を超え3000 万円以下2.5%+4.5 万円5%+9 万円
3000 万円を超え3 億円以下1.5%+34.5 万円3%+64 万円
※経済的利益は、養育費、婚姻費用の2年分をもって算定する。
※最低着手金の額は、10万円
※地方裁判所に対する財産開示・第三者情報開示の手続はそれぞれ5万円

 

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