財産分与

夫婦の離婚に際して、争いが生じることの多い問題の一つが、財産分与を巡る問題です。

財産分与に対する取り組み

財産分与は、夫婦の共同生活の過程で形成された財産をどのように清算するか、という問題です。

その態様・内容は、離婚をする夫婦が新たなリスタートを切るための最も重要な要素の一つとなります。

そこで、ひびき法律事務所は、この財産分与の問題を、「夫婦が協力して積み上げてきた財産の適正な清算を図り、当事者双方が財産面・経済面において公平なリスタートを図るための重要な法律問題」と位置付け、依頼者の皆様を支援する業務を行っています。

ひびき法律事務所(北九州)について

ひびき法律事務所は、昭和63年に北九州市小倉北区に開設された事務所です。

実績に基づくノウハウの蓄積

北九州に設立されて以来、弊所の所属弁護士は、男女問題・離婚問題を中核的な業務の一つに位置付け、その解決に尽力してきました。

主婦の方、会社員の方・経営者の方、医師などの専門家の方、弊所は、これまで様々な立場・地位にある方から、ご相談・ご依頼をいただいております。

その結果、蓄積された多様な実績・ノウハウは、依頼者を皆様を支援する大きな武器となっています。

地域密着型事務所としてのネットワーク

また、弊所の特徴の一つは、地域密着型事務所であることです。

北九州地域において、長きにわたって業務を提供してきた過程において、弊所には、財産分与の問題(主として不動産の評価をめぐる問題)に関し、連携・協力が必要となる他士業の先生方とのネットワークが構築されています。

実績が形に

その実績は信頼となり、現在、弊所の弁護士はたとえば次のような業務・役職を任されるに至っています。

  • 福岡県弁護士会北九州部会などの「委員会」において重要な役職を歴任
  • 北九州市男女共同参画センターから委託を受けて、離婚講座の講師、離婚相談を担当
  • パートナー問題に関し、北九州市内大学にて講演

離婚・男女問題に関し、ひびき法律事務所が有するノウハウ・ネットワークは、財産分与のトラブルにお悩みの方を支援するための強力な武器となります。

北九州地域において財産分与にお悩みなら、ぜひ、ひびき法律事務所にご相談・ご依頼ください。

所属弁護士

弊所に所属する弁護士は次のとおりです。

  1. 山上 知裕
    出身 北九州市若松区出身   昭和57年登録 (登録番号18139)
  2. 油布 剛
    出身 大分県 平成19年登録 (登録番号35800)
  3. 河合 洋行
    出身 北九州市小倉北区 平成23年登録 (登録番号44360)
  4. 仲地 あや子
    出身 沖縄県那覇市出身 令和元年登録 (登録番号58567)
  5. 山本 耕作
    出身 大分県延岡市出身 令和4年登録 (登録番号 61818)

離婚時の財産分与とは

夫婦の財産分与とは、夫婦の協力によって形成された財産を離婚に際して、または離婚後に清算することをいいます。

清算的な財産分与

たとえば、夫婦が結婚して、婚姻期間中の夫の給料を原資に不動産を購入していた場合、当該不動産は夫婦の共同の財産として扱われます。

婚姻期間中の給料を積み立てることによって形成された預貯金も同様です。これらを清算するのが財産分与です。

また、退職金や積立型の保険、自動車等もその対象となりえます。

民法第768条
財産の分与は、離婚時における離婚給付の一つであり、民法という法律においては、次のように定められています。
  1. 1.協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる。
  2. 2.前項の規定による財産の分与について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、当事者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができる。ただし、離婚の時から二年を経過したときは、この限りでない。
  3. 3.前項の場合には、家庭裁判所は、当事者双方がその協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮して、分与をさせるべきかどうか並びに分与の額及び方法を定める

財産分与の種類・視点

また夫婦が形成してきた清算とは別に、扶養的あるいは慰謝料的な財産分与という概念が観念されることがあります。

そこに未払い婚姻費用の清算という視点が加わることもあります。

検討対象が多くなるので、本記事では説明対象外としていますが、次の記事にて解説していますので、一度ご参照いただけますと幸いです。

参照:4つの財産分与(3種類+1種類)

財産分与をめぐる実体的な争点

清算的な財産分与をめぐっては、主として①対象となる財産、②分与の割合が実体的な争点となります。

分与の対象となる財産

離婚時の財産分与の対象となる財産は、婚姻後に夫婦の協力によって得られた財産です。

離婚に際しては、たとえば、ある財産が「夫婦の協力によって得られた」と言えるか、という形で問題となります。

共有財産(夫婦の協力によって得られた財産)

夫婦の協力によって得られた財産というのは、給料等、金銭を直接得るものに限られず、夫婦の一方が他方を支えることによって得られたと評価されるものも該当するとされています。

たとえば、夫が働き収入を得ている一方で、妻が家事を行ってきたという家庭の場合、妻は、労働によって直接収入を得ていたわけではありません。

しかし、夫の仕事は、妻の家事によって支えられているといえるため、夫の給料を積み立てて形成された預貯金は、やはり夫婦の共有財産を形成します。

したがって、こうした預貯金は分与の対象です。

※ 例外的に、夫婦の協力によって得られた財産であっても、各自の全くの自由な処分に委ねられた私物(夫にとっては仕事用のスーツや靴等、妻にとっては化粧品など)は、特別な事情がある場合を除き、基本的に対象外と解されます。

特有財産は財産分与の対象外

上記のとおり、財産分与とは、夫婦の協力によって得られた財産を清算することを言いますので、夫婦の協力とは無関係に当事者が得たものは、その対象とはなりません。

この夫婦の協力とは無関係に当事者が得た財産のことを、特有財産と言います。

たとえば、夫婦の一人が親からの贈与や相続によって受領したものなどが該当します。

これらは夫婦の共同の財産を形成しない為、分与の対象にはなりません。

参照:特有財産とは?離婚時の財産分与の対象とならない財産

もう一歩前へ
特有財産が分与の対象とならないのは上記のとおりですが、一方で、婚姻期間中に特有財産の費消によって共有財産が維持されていたというような場合はどうでしょうか。
もちろん、ケースバイケースではありますが、共有財産の維持のために特有財産が費消された場合、その貢献は、夫婦共有財産を実質的に評価する際、あるいは分与の割合を決める際に、特有財産を有していた者側に有利に斟酌されることがあります。

分与の割合

財産分与の程度・割合は、夫婦の一方が他方に給付すべき金額・価値を決める目安となる基準です。

法律の条文では直接定まってはおらず、夫婦財産の形成への寄与度に応じてケースごとに定めることとなります(手続については、後述。)

ただ、概していえば、共働き型、家業協力型、専業主婦型といった夫婦生活の形態を問わず、財産分与の割合は50%(2分の1)と判断されることが多く、特別な事情がある場合に限り、その割合が修正されるというのが実務傾向です。

なお、教科書的な例ではあるものの、特別な事情の例としては次のような事情が挙げられます。

  • 夫婦の一方が有名スポーツ選手などで特別な才能・能力の下に極めて高額の収入を得ていた
  • 夫婦のうち、妻が就労を行い家事も妻が行っていた、夫は資格試験に向けて受験勉強などをしていたにすぎず、夫婦財産の形成に寄与していない

参照:財産分与の清算割合(2分の1ルールとその例外)

 

事実上の問題

財産分与のトラブルに際しては、上記実体的な争点のほか、事実上の問題が生じます。

財産の開示をめぐる問題

その一つが、たとえば、預貯金などの所在につき、一方当事者のみが把握しており、もう一方の当事者がその所在を知らない、といった情報の偏在をめぐる問題です。

たとえば、夫が個人事業主であった場合や会社代表者であった場合、事業者名義でなされた預貯金につき、配偶者がこれを把握していない、というケースは少なくありません。

反対に、夫が妻に家計を任せきりにしており、夫が、妻名義の預貯金の額や口座が存在する銀行・支店、加入している保険が分からないというケースも往々にしてあります。

こうした場合、その財産の開示をめぐり、しばしば紛争が先鋭化します。

不動産の評価をめぐる問題

また、財産分与の対象に不動産が存在する場合、その評価をめぐってもしばしば紛争が激化します。

上記のとおり、夫婦生活中に、夫婦の協力によって得られた財産は、どちらか一方の名義であっても分与の対象となります。

不動産も例外ではありません。

他方で、不動産は、必ずしも、その額が一義的に定まるものではありません。評価の仕方によって、金額は前後します(固定資産税評価額・路線価による価格・市場価格など評価額が複数存在しえます。)

そして、夫婦の一方どちらかがこれを取得するといった場合、取得する不動産の価値が多ければ、他方配偶者に給付すべき金額も大きくなり、取得する不動産の価値が小さければ、他方配偶者に給付すべき金額も小さくなる、といった構造となります。

不動産は、夫婦が有する財産の中でも、往々にして最も大きな財産の一つを構成すると共に、金銭給付の額を直接左右する要素でもあるため、財産分与に際して、その評価額が大きな争点となるのです。

もう一歩前へ
実際には、不動産の分与に際しては、「住宅ローンの残額」や「頭金の評価・位置づけ」するかも大きな問題となります。
「住宅ローンと財産分与の関係」・「頭金の評価・位置づけ」に関しては、必ずしも実務傾向が固まっているとはいいがたい部分があり、問題を錯綜させています。

参照:不動産の財産分与について

参照:財産分与における不動産の査定

財産分与の手続に関する弁護士のサポート

財産分与に際し、話し合いで解決できない場合、適正な解決を得るためには、上記に挙げたような争点につき、しかるべき手続において、しかるべき主張・立証を尽くすことが重要です。

弁護士は、ご本人の代わりに、主張書面の作成・証拠の評価・提出などを行い、依頼者を支援・サポートをいたします。

争点に対して主張・立証を尽くす

財産分与を巡っては、何が財産分与の対象となるのか、いつからいつまでの期間を財産形成の基礎と見るのか、各財産をどのように評価するのか、財産分与の割合をどのように評価すべきか、等を巡って、見解が往々にして対立します。

また、たとえば、不動産の評価額が争点となる場合には、その主張に根拠を添えて立証をすることが重要です。

さらに、財産の開示が十分でないと思料されるときは、調停や裁判の手続に際して、その開示を求めることが必要となります。

こうした財産分与の諸問題を適正に解決するためには、法律上の知見が不可欠です。

弁護士にご相談いただき、判断枠組の整理・見通しをつけるだけでも、財産分与の問題を解決する大きな力となるはずです。

財産分与を巡る問題に直面されている場合には、是非一度、ひびき法律事務所の弁護士にご相談ください。

手続遂行・支援

財産分与を求める手続きは、①離婚に際して行う場合と、②離婚後に行う場合との二つに分かれます。

ひびき法律事務所では、離婚協議・財産分与の協議のほか、以下の各手続に関し、随時・ご相談・ご依頼を受け付けております。

離婚に際して行う分与請求

財産分与の割合と同様、財産分与に基づく給付の対象とするかは、法律では決まっていません。

たとえば、財産分与における話し合いにより、夫が不動産、妻が預貯金を取得するというように、夫婦は任意の協議によって財産分与の内容、給付の対象を決めることができます。

一方、こうした任意の協議で財産分与の対象が定まらない場合、家庭裁判所における手続を利用することが必要となります。

主要な手続は次のとおりです。

  1. 離婚調停における話し合い・・(合意が必要)
  2. 離婚訴訟等における判決・・・(合意は不要)

弁護士は、これらの手続において、依頼者本人に代わって、必要な手続を遂行し、本人をサポートします。

離婚後に行う分与請求

また、財産分与は、必ずしも離婚に際して行う必要はありません。一定の期限はあるものの、離婚後に行うことも可能です。

話し合いによって解決できない場合は、次の手続を通じて、分与請求の手続が行われることになります。

  1. 調停手続・・・(合意が必要)
  2. 審判手続・・・(合意は不要)

ひびき法律事務所では、離婚後の分与請求についても随時、ご相談・ご依頼を受け付けております。お気軽にご相談ください。

財産分与に関する弁護士費用

財産分与に関する弁護士費用は,民事事件の例によります。その目安は下記表の通りです(ただし、別途消費税)。

なお、離婚訴訟・離婚調停等を同時にご依頼される場合、別途費用が必要となります(参照:弁護士費用)。

【財産分与に関する弁護士費用】

訴訟手続経済的利益の額着手金報酬
300 万円以下の場合8%16%
300 万円を超え3000 万円以下5%+9 万円10%+18 万円
3000 万円を超え3 億円以下3%+69 万円6%+138 万円
※但し、最低着手金の金額は10万円
※離婚調停から財産分与の請求を受任しており、継続して離婚訴訟を受任するときは、上記額の2分の1のみ追加着手金とする
調停・審判経済的利益の額着手金報酬
上記訴訟事件等に記載の額に準ずる。ただし,その額を3分の2に減額することができる。
※ただし、最低着手金の金額は10万円

 

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