親権・監護権者の指定

日本では、離婚に際して、「共同親権」はいまだ認められていません。そのため、離婚に際してはしばしば「親権」をめぐる争いが生じます。

また、離婚前の別居の段階においては、これは、監護者たる地位をめぐる争いという形で現れます。

ひびき法律事務所と離婚・子供をめぐる紛争について

ひびき法律事務所は、昭和63年に北九州に開設された事務所です。

開設以来、弊所の弁護士は、30年にわたり離婚問題・子供をめぐる紛争の解決を中核的な業務の一つと位置づけ、その解決に尽力してきました。

現在、男性4名、女性1名の弁護士が在籍しており、福岡県弁護士会北九州部会「両性の平等委員会」副委員長を務める弁護士、北九州市男女共同参画センターの離婚講座の講師・法律相談の担当を歴任する弁護士などが在籍しています。

【氏名・弁護士登録年・登録番号】

  1. 山上 知裕
    出身 北九州市若松区出身   昭和57年登録 (登録番号18139)
  2. 油布 剛
    出身 大分県 平成19年登録 (登録番号35800)
  3. 河合 洋行
    出身 北九州市小倉北区 平成23年登録 (登録番号44360)
  4. 仲地 あや子
    出身 沖縄県那覇市出身 令和元年登録 (登録番号58567)
  5. 山本 耕作
    出身 大分県延岡市出身 令和4年登録 (登録番号 61818)

親権とは

親権の概念及び親権者を定める手続は以下のとおりです。

親権とは

親権とは、①子供と一緒に生活する保護者として権限、②子供の財産を管理する権限の二つが含まれます。前者を監護権、後者を財産管理権といいます。

  1. 監護権
    前者の権限は、監護権といい、未成年者の身体的・精神的発達を促し、将来、未成年者が立派な社会人・大人となるために子供の保護・監督をするために親権者に与えられる権限です。
  2. 財産管理権
    子どもの財産全般を管理監督する権限です。

親権争いという言葉がありますが、これは、語弊を恐れずに言えば、日常生活における子供の保護者・養護者が誰になるのか、という問題です。

ここで、②財産管理権を欲して親権を取得したいという親はほとんどなく、これは主として、①監護権を父親・母親どちらが取得するか、という保護者の地位をめぐる争いとなります。

親権者の指定する手続について

未成年の子がいる場合、離婚は、親権者を定めない限り成立しません。子の離婚後の親権者を定めなければ離婚届が受理されないのです。

そのため、離婚に際しては、親権者を定める必要があります。

親権者指定の手続はそれぞれ次のように整理できます。

離婚協議・調停は、当事者の合意により、離婚審判・裁判の場合は、家庭裁判所がこれを定める手続きです。

 

【離婚協議・調停における注意点】
離婚に際して、協議で決まった親権者を後で変更できるのでしょうか。結論を言えば、「できません。」「・・・これは言いすぎですが、特別な理由がなければできない」ということになります。

離婚相談に際して、一旦は、親権者の指定に合意したのだけど、あとで変更できると思っていた、というご相談を受けることがあります。思うところがあって、離婚を早く成立させたかった、親権を相手や相手の親族が強く主張してきて離婚届にサインをしてしまった、こうしたケースで、離婚成立後少したって、「今から親権を取れるか」というご相談です。

こういったケースで、親権を取り戻すのは、容易ではありません。相手方の監護状況に対して強度の攻撃材料がある、離婚届作成時が強要ともいえるべき事情があった、こうした事情が証拠とともに必要となります。

離婚に際してきちんと手続きをとれば親権を取れたかもしれないのに、一旦譲ってしまったがために、親権をとることが非常に難しくなってしまっている、というケースがあるのです。

離婚協議においては、一旦親権を渡してしまえば、今後、それを取り返すことは非常に難しい、との前提で、本当に親権を譲っていいのか、慎重にご判断いただく必要があります。

監護権とは

次に別居中の監護者の指定についてです。

監護権とは

上記の通り、監護権とは、未成年者の身体的・精神的発達を促し、将来、未成年者が立派な社会人・大人となるために子供の保護・監督をするために親権者に与えられる権限を指します。

監護権者指定の手続(調停・審判)

夫婦の別居に際して、監護者を定めなければならない、という民法上のルールーはありません。
この点、離婚がいまだ成立していない段階では、父母双方が、親権者として監護権を有しています。しかし、実際に別居が始まる場合、子供を監護していく者は、父母のどちらか一方になるのが通常です。
そして、監護者をどちらにするかについて、協議・合意なく、別居が始まることも珍しくありません。
この場合において、父母が双方とも子供とともに生活をしていきたい、相手には任せらないというときは、監護権者たる地位をめぐって、争いが発生します。
こうした場合、通常、話し合いでの解決は困難です。
子供との生活を希望する親は、家庭裁判所の調停・審判の手続により、自分を監護者として指定するよう求めていくことになります。

親権者・監護権者指定の判断基準

離婚の審判や離婚の裁判では、家庭裁判所が親権者を定めます。監護権者指定の審判においても家庭裁判所が監護権者を指定します。

当事者双方が親権者たる地位(離婚時)、あるいは監護権者たる地位(別居時)の取得を希望している場合、家庭裁判所は、どちらが親権者/監護権者ととなるのが、未成年者の福祉の観点から適切か、という判断基準のもとで、判断を行います。

その際、裁判所は次のような事柄を考慮要素を総合考慮して、親権者/監護権者を指定しています。

父母に関する事情監護に対する意欲・能力・子に対する愛情の程度
父母の健康状態
経済的、精神的家庭環境
居住、教育環境、祖父母などの支援の状況
監護実績・従前の監護状況
未成年の子に関する事情子どもの年齢、性別、心身の発育状況
兄弟姉妹の関係
従来の環境への適応状況
子の意思(特に8歳~10歳程度以降、年齢を重ねるごとに子の意思が重視される

※親権者の指定と監護権者の指定との考慮要素は、ほとんど重なり合うと理解されています。後者が前者の前哨戦的な位置づけとなる所以です。

考慮要素には濃淡がある

上記考慮要素は、必ずしもすべて同列ではありません。この中でも裁判所が重視するもの、そうでないもの、濃淡分かれます。

たとえば、監護実績・従前の監護状況は、裁判所はきわめて重要な考慮要素に位置付けられることが多いのにと比較すると、父母の経済状況が重要なウェイトを占めるケースはかなり少ないといえます。

子の意思の尊重

また、子供の発達状況に応じてではありますが、子供が意思を表示できるようになった場合、子供が表明する意思も重要となります。

5~7歳程度までは、裁判所も一応、その意思を聴く程度ですが、概して、8歳から10歳程度となると、次第にその意思が尊重されるようになります。

そして、以降、年齢・精神的発達を重ねてくると、より、その意思が重視されるようになります。

家庭裁判所調査官による調査

裁判所は、上記のような判断をするに際して、家庭裁判所調査官の調査結果を重要視します。

家庭裁判所調査官とは、心理学・社会学・この福祉の専門家です。

裁判官の命を受けて、両親から聞き取り調査を行ったり、子供の意思を確認したり、その他の家庭環境などの調査を行います。

親権の取得/監護権者の指定をめぐる争訟では、この調査官調査が極めて大切な手続となります。

そのため、調査官調査に際して、当事者は、調査官に見てもらいたいこと、着目してもらいたい点などを事前に整理して主張をしておくことが重要になります。

ひびき法律事務所(北九州)の弁護士にご相談ください。

親権の取得/監護権者の指定の判断に際して少しでも有利に手続を進めるためには、監護実績・監護状況、子供が表明した意思に対する評価、その他、自身が親権者として適切であることを整理し、的確に主張・立証する必要があります。

他方で、言うべきことで無いことは言わない、表現を控える、主張の仕方を工夫する、そうした対応も必要です。

北九州地域において、親権の取得が争いとなる場合には、ぜひ一度、ひびき法律事務所の弁護士にご相談ください。

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