協議離婚の流れと注意点

今回は、離婚協議の流れについてです。

全体的な流れ

夫婦によって、各プロセスの濃淡に違いはあるものの、離婚協議の全体的な流れは、次のプロセスをたどります。

  1. 離婚を切り出す。
  2. 双方に離婚意思があるか否かについて確認する。
  3. 離婚条件について話し合う。
  4. 必要に応じて離婚協議書を作成する。
  5. 離婚届を作成し、提出する。

協議離婚成立までのプロセス

以下、協議離婚成立までのプロセスをそれぞれ説明します。なお、協議離婚とは何か、については次の記事をご参照ください。

参照:協議離婚の流れ

離婚を切り出す。

離婚協議は、夫婦のどちらかが離婚を切り出すことによって始まります。

夫婦のどちらが切り出したか、によって法律上の有利・不利が決まることはありません。

どのように離婚を切り出すのが最もよいか、どのような手段で伝えるのが最もよいかは、夫婦の状況や妻・夫の性格によってさまざまです。

これは、夫婦が抱える問題・離婚原因によっても異なります。

切り出し方についてお悩みの場合には、たとえば次の記事を参考としていただけますと幸いです。

参照:離婚の切り出し方に関する一考

双方に離婚意思があるか否かについて確認する。

「離婚の切り出し」の次のステップは、「双方に離婚意思があるか否か」について話し合うことです。

自分だけでなく、相手も離婚を受け入れるのか、あるいは相手はこれを受け入れないのか、条件次第なのか、について確認することになります。

相手が離婚を受け入れる場合

この場合は、次の「離婚条件の話し合い」に進みます。

相手が離婚を受け入れない場合

この場合には、このままでは離婚は成立しません。

どちらかが感情的になって話し合い自体ができない、という場合もここに分類します。

この場合において、離婚協議をさらに進めたい、というときには、「相手に一定期間をおいてさらに検討してもらう。」あるいは「別居の準備・開始をする。」などが選択肢となります。

なお、「相手にさらに検討してもらう」だけでは、どこまで行っても協議離婚が成立させられない、ということもありえます。

この場合には、どこかのタイミングで、「②別居の準備・開始をする」のが有効です。

条件次第という場合

この場合も次の「離婚条件の話し合い」に進みます。

離婚条件について話し合う。

相手が「離婚に応じる」あるいは「条件次第」という場合には、次に離婚条件について話し合うこととなります。

話し合いの対象

話し合いの対象は様々ですが、お金に関する問題としては、次のような項目が協議対象となります。

  • 慰謝料
  • 財産分与
  • 年金分割

さらに、未成年者がいる場合には、次の事項が協議対象となります。

  • 親権
  • 養育費
  • 面会交流

なお、協議離婚は、離婚条件を互いの合意により柔軟に設定できる点にメリットがあります。

上記に挙げた項目に当てはまらなくとも、その夫婦特有の問題を話し合いの対象にすることが可能です。

たとえば、「夫婦間の過去の金銭の貸し借り」や両親からもらった財産の「清算」などが問題となる場合、これらを協議対象にいれることができます。

条件が折り合わない場合

条件が折り合わない場合は、次の二つの視点で状況を整理してみてください。

  • 財産の種類・多寡について互いの認識に違いがないか
  • 一般的な相場観(法律で解決したらどうなるか)ついて互いの認識に相違がないか

離婚条件が折り合わない、という場合、上記二つのどちらかについて、認識の共有ができてきない、というケースが散見されます。

相手の認識が事実・あるいは法律的な相場感とずれている、ということもあれば、ご自身の認識にずれがある、という場合もあります。

いずれのケースにおいても、ので、冷静に事実に基づいて検討すること、場合によっては第三者・弁護士を頼ってもらうことも有用です。

もちろん、感情的な問題・実生活上の問題もあるため、上記二つを整理したからと言って話し合いがうまく進むとは限りませんが、上記二つを整理する過程で協議が進むこともある上、この整理は、協議離婚がうまくいかない場合を想定したその後の手続を進める上でも有用です。

その上で協議を重ねても、どうしても条件が折り合わない、という場合には、協議打ち切りの上、離婚調停などの手続をさらにすすめることが選択肢となります。

離婚届先行型について

なお、法律上は、「親権者の指定」を除き、離婚条件に付いて決めておくことは、離婚成立の必要条件ではありません。

「親権以外の条件」で折り合えないが、互いに離婚については同意しているという場合には、離婚を先行させ、その後、離婚条件について話し合う、という方法もあり得ます。

離婚協議書を作成する。

離婚条件について折り合いがついた場合には、必要に応じて協議離婚書を作成します。

単純に離婚するだけのケースでは、協議書の作成までは不要ですが、①未成年のお子様がいらっしゃる場合、②離婚に関する財産的な条件が多額・複雑な場合には、協議書を作成することを勧めます。

離婚協議書は、簡単なものであればご自身たちで作ることも可能ですし、作成が難しければ、必要に応じて、弁護士にご相談いただければと思います。

離婚届を作成し、提出する。

夫婦双方の離婚意思が固まったら、離婚届を作成し、これを提出することで、離婚を成立させます。

この届出を市区町村役場に提出することで、協議離婚のプロセスは完結します。

離婚届の作成について

この離婚届の書き方については次の記事で解説していますのでご参照ください。

参照:離婚届の書き方・記載例

離婚意思の欠缺について

本記事では、上記の通り、離婚協議のプロセスについて解説してきました。この過程において、離婚意思が整わないまま、勝手に離婚届が出された場合、その離婚は無効と扱われ得ます。

参照:協議離婚の無効と追認

参照:離婚の有効・無効を争う手続き(離婚無効調停・離婚無効訴訟)

また、離婚意思が脅迫は欺罔行為(だます行為)によって形成された場合には、当該離婚は取り消されうるものとなることに注意が必要です。

参照:離婚取消について

 

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