離婚調停の進行と流れ

今日は、離婚調停の進行と流れについてです。

離婚調停は、標準的なケースで、申立てから約半年、1年程度の期間を通じて行われます。

なお離婚調停において、初回に離婚調停が成立する、というケースもありますが、これは特殊なケースですので、今回は説明の対象から除外します。

離婚調停の流れ(概要)

離婚調停の流れは、おおむね次の図の通りです。

離婚調停の申立について

申立ては、当事者が離婚調停の手続を行いたいと家庭裁判所に申し入れることを意味します。

この申し立てに際して、当事者は、離婚そのもののほか、次のような事項(離婚条件)のうち、調停の対象としたい事項を選択することになります。

  • 慰謝料
  • 財産分与
  • 親権
  • 養育費
  • 面会交流
  • 年金分割

敵始期に家庭裁判所への申立てが行われると、申立人(離婚を申立てが側)と家庭裁判所との間で、初回の期日をいつにするのか、の調整が行われます。

一般的には、申し立ての日から1か月ないし1か月半程度後の日に定まるのが通例です。

裁判所は、期日が決まったら、申立ての副本や呼び出し状を相手方(離婚を申し立てられた側)に送付します。

なお、申立人は、離婚調停の申し立てをした後は、いつでもこれを取り下げることができます。

離婚調停協議の進行について

調停期日における進行は、いろいろな整理の仕方があると思いますが、序盤に「主張・争点の整理」が行われ、その後、同時並行的に「主張・証拠の評価」が始まり、さらに「当事者への働きかけ」へ進む、と理解するのが簡便なのではないかと思います。

【留意点】
「主張・争点の整理」「主張・証拠の評価検討」「当事者への働きかけ」という各ステップにはグラデーションがあります。

審理の状況によっては、「主張・争点の整理」の段階と「主張・証拠の評価」との各ステップ・段階とが「行ったり来たり」することもありますし、「同時並行的」に進む場合もありえます。

また、どのステップにどの程度の期間を要するかはケースバイケースです。整理すべき争点が多ければ、「主張・争点の整理」に数期日が必要となる(序盤戦が長くなる)、というケースもありえます。

第1回期日について

調停が始まった最初の期日のことを第1回期日とか初回期日と言います。

手続説明

第1回期日においては、家庭裁判所から、離婚調停手続に関する手続説明が行われます。

調停とはどういった手続きか、を家庭裁判所が説明する機会となります。えてして当事者同席を求められることが多いです。

参照:離婚調停、相手に会わず、顔を合わせずに進められるか

主張・争点の整理

また、手続説明を経て、実際に調停が始まると、調停委員は、当事者双方から話を聞き、主張・争点の整理を行います。

申立人は調停委員から、離婚を求める理由や申立人が求める離婚条件の内容などにつき、確認が行われます。

相手方が出席していた場合、相手方もに対しても、離婚原因に関する認識や、離婚条件についての意向などにつき、確認が行われます。

当日の調停の進み方については、次の記事も参考にしていただけますと幸いです。

参照:離婚調停当日の進み方

第2回期日以降について

第2回期日以降、「当事者の主張・争点の整理」を踏まえて、実質的な協議が開始されます。

【留意点】
争点が複雑多岐に渡るような場合には、第2回期日も、当事者の言い分の確認に主眼が置かれ、実質的な協議が第3回期日以降に開始する、ということもありえます。

また、婚姻費用分担調停との関係で、実質的な協議の開始が遅れることもあります(後述)

主張・証拠の評価・検討

第2回期日以降においては、当事者の主張や当事者が提出した証拠に対する具体的な評価や検討が行われます。

検討に必要な資料が不足している場合、調停委員は当事者に提出を促します。

当事者から提出された証拠に対する評価は、裁判手続のような厳格な評価ではありませんが、調停委員や裁判官が妥当な結論を考える材料として利用されます。裁判官も、法律的な視点から、これを確認しており、その考えを調停委員へと伝えます。

また、親権や面会交流につき、大きな争いがあるようなケースでは、家庭裁判所による調査官による子の意向・監護状況の調査や試行的面会交流が行われることもあります。

この調査官の調査結果なども、家庭裁判所が妥当な結論をどう据えるかを考える材料となります。

当事者への働きかけ

また、調停委員は、当該調停において問題解決を目指して、当事者に働きかけ・説得を行います。

本格的な働きかけ、説得は、概して、一定程度、当事者の主張・証拠の評価や事実の調査が終わった段階で開始されます。証拠や調査結果などの材料がここで利用されるわけです。

第2回期日、第3回期日以降は、こうした証拠の評価を踏まえ、当事者への働きかけ、当事者間の気持の整理などに期日が費やされます。

なお、1期日間の期間は、1か月から1か月半程度となるのが通例です。

【留意点】
家庭裁判所の働きかけ・説得の方向性は、調停員や裁判官が考える妥当な結論(調停委員会の心証ともいう。)に向かっていくことが多いように思われます。

ただし、その「妥当な結論」は一つではなく「幅」があります。

当事者の意向・気持ちも踏まえる必要があるので、主張や証拠の評価だけで、調停委員の働きかけの方向性が一義的に決まるものではありません。

調停終了

上記調停期日において、当事者間で合意に達した場合は、離婚調停が成立します。

この段階で「離婚」も成立します(ただし、その後の離婚届の提出は必要です)。

調停委員が働きかけを尽くしても、当事者間にて合意の見込みがないと判断される場合、調停は不成立となります。

この場合、離婚を求める当事者は、さらに離婚訴訟を起こすか否かなどを検討することとなります。

参照:離婚調停の不成立とは

 

婚姻費用の分担調停が同時に申立てられた場合について

上記にて、離婚調停手続きでは、第2回期日以降、主張・争点の整理を経て実質的協議が開始されると説明しましたが、この実質的協議の開始が遅れる場合もあります。

実務的に多いのは、離婚調停と同時に、婚姻費用分担調停が同時に申し立てられている場合です。

参照:婚姻費用について

婚姻費用分担調停が離婚調停と同時に申し立てられている場合、この結論がでるまで、婚姻費用分担調停の解決に主眼を置いた協議が行われる傾向にあります。

当面の生活費の問題は、離婚の可否などよりも先行して判断するべき、という価値判断が働くからです。

こうしたケースでは、離婚に関する込み入った実質協議が第3回や第4回期日以降から始まるという場合も少なくありません。

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