離婚調停の不成立とは

調停手続の終りかたの一つとして、「不成立」というものがあります。

離婚調停の不成立とは

離婚調停の不成立とは、調停は申し立てられたけれども、当事者の合意が整わず、調停離婚が成立しなかった場合を指します。

同じく、離婚が成立せずに調停が終わる手続として、「調停の取下げ」がありますが、これは、申立をした当事者が自ら調停の申し立てをやめる手続であるのに対して、調停不成立は、裁判所の判断による手続となります。

調停成立の見込みがない場合に不成立となる

調停が不成立となるのは「調停成立の見込み」がない場合です。

典型例は、一方当事者に離婚する意思が全くなく、その意思も頑強というケースです。

また、離婚する、しないでは合意ができていても、離婚条件で折り合えないという理由で不成立となることもあります。

たとえば、未成年者について、夫と妻がどちらも自身が親権者となることを譲らず、また、一定程度協議を続けても、どちらかが親権を譲る見込みすらたたない、と言う場合、その離婚は成立する余地がないので、調停不成立となります。

そのほか、慰謝料、財産分与、養育費などの点で折り合えない場合も同様です。

また、当事者の一方が再三の呼び出しにも全く出頭しない、といった場合も離婚成立の余地がありません。

こうしたケースでは、調停を申し立てた当事者がその申立てを取り下げない限り、調停不成立となります。

「調停の成立の見込みがない」ことをどう判断するか

家庭裁判所は、調停の成立の見込みがないことをどう判断するのでしょうか。

回数ではない

調停が不成立となるか否かは、調停の「回数」で判断されるものではありません。

当事者が、出頭しない、というケースでは、3回程度の調停期日で「不成立」の判断にいたるかもしれませんが、離婚の可否や条件でなかなか折り合いがつかない、という場合は、いつ不成立の判断となるかは、ケースバイケースとなります。

調整・働きかけを尽くしても、情況が変わらないかどうか

調停開始当初、あるいは途中の段階において、当事者の意見が対立しており、合意が成立させられない、と言う場合でも、これをもって直ちに不成立となることは通常ありません。

原状、折り合えていないとしても、アプローチは尽くしたい、と考えている調停委員が多いのではないかと思います。

そのため、同一争点に関し、複数回の期日に渡って、調停員による調整・働きかけがなされたけれども、情況が変わらない、というような場合に、ようやく、調停の成立の見込みがない、という判断がなされるのがほとんどです。

なお、調停委員が上記のような判断にいたる最終的な局面では、「これはもう難しいかもしれませんね」とか、もっと直截的に「不成立で終わってしまうかもしれませんね」「成立の見込みがないので、取り下げしませんか」等、ほのめかし、匂わせがしばしばあります。

反対に、不成立でも構わない、という当事者が、「折り合う余地はないから不成立にしてくれ」と要請することもあります。こうした要請があるか否かも、「不成立」とするか否かの判断に影響をあたえているはずです。

 

調停が不成立で終わった場合の次の手続

調停が不成立で終わった場合、「不成立」に対して、不服の申立てはできません。

離婚に向けた取り得る選択肢は、建前としてはつぎのとおりとなります。

  1.  離婚協議・再度の調停
  2.  離婚訴訟をする

離婚協議・再度の調停について

調停が不成立に終わった後、当事者間でさらに離婚協議を行うこと、あるいは再度の離婚調停を申し立てることは可能です。

ただ、 調停終了後、直ちに離婚協議をしたり、再度の調停を申し立てたりしても、通常、進展は見込めません。

そこで、協議や調停をさらに行うという場合には、一定の別居期間を空けるなど、動き出しまでの期間面においてバッファーをとるのが一般的です。

離婚訴訟をする

離婚訴訟は、調停が成立しない場合の次の手段として有用です。

ただ、裁判で離婚を成立させるには、法定離婚原因が存在することが必要となります。そのため、離婚訴訟は、法定離婚原因があるとの認定を受けらうる場合の選択肢となります。

この訴訟を提起する場合には、家庭裁判所において、離婚調停に係る不成立調書の謄本を交付してもらい、これを訴状(訴えを申し立てる資料)に添付することとなります。

また、調停が不成立となった日から2週間以内に訴訟を提起した場合、調停に際して支出した収入印紙代を裁判に必要な印紙代として、充当することもできます。

他方で、法定離婚原因がない、不足している、といった場合には、「別居期間を長くとる」などして、法定離婚原因の充足を図る必要があります。

 

調停が不成立に終わった場合の弁護士費用

最後に、調停が不成立に終わった場合の弁護士費用についてです。

この弁護士費用については、どういった処理になるのか、疑問に思われる方も少なくないようです。

別途、次の記事を作成していますので、ご参照いただければ幸いです。

参照:離婚調停が不成立の場合の弁護士費用についての一考

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