モラハラ離婚の話し合いの留意点

離婚は双方の合意で出来ます。まずは話し合いをして、それでもだめなら離婚調停などの手続へ、というのが筋道です。

モラハラを原因とする離婚の場合、他の離婚理由とは異なる留意点があります。

モラハラを原因とする離婚の話し合いの留意点

モラハラを原因とする離婚の話し合いが他の離婚原因の場合と違うのは、次の点です・

  • そもそも話し合いにならないことが多い
  • 話し合いは証拠化のチャンスでもある

そもそも話し合いにならないことが多い

夫婦の一方、それが夫であれ妻であれ、どちらかが日常的・継続的にモラハラ行為を繰り返すような場合、離婚自体の話し合いが困難なことが多いです。

離婚を切り出すと、大きな声を挙げられたり、罵倒されたりとなり、離婚の可否や離婚条件の話し合いにならないのです。

離婚を切り出されるのは、多くの人にとって嫌なことですから、日常的にモラハラを繰り返す人のような場合、上手に受け止められず、相手への攻撃が開始されることも少なくありません。

こうした場合は、第三者を交えた話し合いができるか、を検討することになります。

そのほか、➀小さなことから話し合う、➁相手の機嫌のいいときに話し合う、➂相手を褒めながら話す、抽象論としてはいくつかあがりますが、大抵、意味をなさないことが多いように思われます。

話し合いは証拠化のチャンスでもある

法律的な面に目を向けて、モラハラ離婚の留意点をあげるとすれば、まず、「モラハラを原因とする離婚請求や慰謝料請求は、その立証や証明が非常に難しい」という前提に立ってもらう必要があります。

弁護士として、いざ相談を受けてみると、それを証明する証拠がほとんどない、というケースもすくなくありません。

証拠の重要性

離婚の話し合いが始まった時に、モラハラが起きるのであれば、これは、モラハラ言動を証拠化するチャンスでもあります。

モラハラを証明する証拠が全くないのと、配偶者がもう一方の配偶者を大きな声で罵ったり、罵倒したり、という客観証拠があるのとでは、離婚手続の進行が大きく違います。

また、離婚に必要な「婚姻関係を継続しがたい重大な事由」があるとの認定をうけるための別居期間の長短にも影響を及ぼしえます。

もちろん、1回きりの証拠があるからといって、それだけでモラハラ訴訟で「勝てる」というわけではありませんが、離婚調停の調停委員の心証をぐっとこちらに引き寄せる、裁判において、有利な条件の和解を引き出せる材料となりえます。

参照:モラハラ認定の難しさ(証拠がない・夫婦喧嘩の範囲などとされるケース)

無理をしない範囲で対応する

たとえば、モラハラで精神疾患を重ねている、という人に、さらに話し合いをして、モラハラの証拠をとるように、というような無理をさせることはできません。

話し合うのも怖い、恐ろしくてできない、こうした場合も同様です。

ただ、もし今後、あなたが無理せず、モラハラの相手と話し合いをする機会を持てるのであれば、その時は、証拠化について、少し検討してみてください。

証拠化している、できている、という事実だけであなたの精神的不安もすこし和らぐかもしれません。

証拠化の方法

証拠化は、相手に知れられないように、が鉄則です。

話し合いが、夫婦が会って行われる、あるいは電話で行われる場合、その証拠化は録音ということになります。

録音している事実を相手に伝える必要はありません。

めったにあることではありませんが、家庭内で物をなげる、あたり散らかす、といった事実を証明するために、秘密録画をされた方もいらっしゃいました。

メールやラインの内容も証拠そのものです。過去に、見るだけで動悸がするので、消してしまった、という方がいらっしゃいましたが、メール・ラインの内容は、極めて重要な証拠ですので、単に携帯電話から消すのではなく、他の媒体に保存する、ということをしてもらいたく思います。

あまりにひどい場合は、その時点での離婚や別居が選択肢

モラハラの証拠化は、無理をしない範囲でと上記に書きました。ただ、そもそも、モラハラ自体にもう耐えられないという場合、その時点での離婚ないし別居が選択肢に入ります。

モラハラ相手との離婚について

相手が離婚自体についてNOといえば、別居・離婚調停などその余の手続が必要ですが、財産分与や慰謝料・養育費は認めないが、離婚には応じてもいい、などと言っているような場合にはその時点で離婚することも選択肢に入ってきます。

証拠がなければ、モラハラの慰謝料請求に困難な面があるのは事実ですが、他方で、財産分与や養育費については、離婚した後でも条件交渉・法的手続による請求が可能です。

もちろん、財産分与や養育費請求を容易にするため、離婚に際して確保しておくべき証拠というのもありますが、モラハラに比べてその確保は比較的容易です。

離婚自体出来ない場合

相手が子供の親権を譲らない、離婚自体OKを出さないという場合には、「別居」が選択肢に入ります。

この場合、収入の無い、低い側は、相手に対して、生活費の一部の分担を求めることが可能です。

モラハラ相手に対して生活費の請求をするなど難しいかもしれませんが、弁護士に交渉を依頼する、手続を依頼することで、相手と直接会うことをさけながら一定額の婚姻費用を請求することが可能です。

参照:婚姻費用|北九州の弁護士

現時点で、もうモラハラに耐えられないというような場合、あなたの心身を壊す前に、お近くの御友人・ご両親に、あるいは弁護士でもかまいません、必ず相談するようにしてください。

 

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