今回は、別居開始時の証拠確保についてです。
別居前に証拠確保を勧める
弁護士が離婚の相談を受ける場合、弁護士は、慰謝料や財産分与、親権、養育費といった離婚をめぐる諸条件に関し、証拠を精査します。
当事者で合意ができない限り、裁判所は「証拠」に基づいて、これらの諸条件に関して、判断を下していくことになるため、証拠の有無は、離婚条件を左右する重要な要素となります。
弁護士も、証拠を基礎に、事件の見通しを立てるわけです。
しかし、弁護士が、相談を受けた段階で、依頼者が当事者がすでに別居を開始していると、重要な証拠の確保ができず、思わぬ苦労をすることがあります。
そこで、当事者が別居の相談に来るときは、別居に先立って、証拠を確保しておくよう勧めています。
財産・収入関係に関する証拠
財産分与や養育費など、財産、お金に関する問題がクローズアップされる調停や裁判では、どこにどういった財産が誰の名義で存在しているか、をつかむことが重要です。
そこで、弁護士は、たとえば次のような証拠を確保(相手方名義の者であればコピー・写真化)するよう勧めます。
- 財産に関する資料
- 収入に関する資料
財産に関する資料
財産に関する資料としては、たとえば次のような資料があります。
- 相手方名義・子供名義の預金通帳
- 相手方名義の保険証券
- 証券会社の口座がある場合には、証券会社からの手紙など
- 自動車検査証
- 不動産のローン・借金に関する資料
ネット銀行の口座に預貯金がなされている場合などは、通帳などはないかもしれませんが、口座開設時の案内書などのコピーがあれば、後々、裁判手続を通じて、その内容を開示させることが容易になりますので、関連資料をコピーしておくことが望まれます。
収入に関する資料
また、収入に関する資料は婚姻費用や養育費の金額を算定するうえで重要な資料となります。
収入に関連する資料としては、たとえば次のような資料があります。
- 源泉徴収票
- 給与明細
- 確定申告書の写し(自営業者・会社経営者の場合)
- 決算報告書(自営業者・会社経営者の場合)
子どもに関する資料
また、未成年の子供がいる場合であって、親権や面会交流が問題となる事案では、子供や生活に関連する資料も重要な証拠となりえます。
たとえば、次のような資料です。
- 子供との関係性をうかがわせる写真・動画
- 保育園や学校の連絡帳
- 室内の写真や子供の成績表など(子供の養育環境に関する主張が必要となる場合)
離婚原因に関する証拠
上記のほか、ケースバイケースになりますが、離婚原因に関する証拠も重要です。
たとえば、借金癖・浪費癖が離婚原因となる場合には、借金の督促状や通知書が重要な証拠となります。
また、浮気が問題となる場合には、スマートホンのLINEや写真が重要な証拠となることもあります。
モラハラで家財や室内の棄損行為がある場合には、その写真も重要な証拠です。
どういった証拠を集めればよいかはケースバイケース
別居に先立って、どういった証拠を事前にあつめればよいかは、どのような財産があるか、子供の有無・年齢・離婚原因如何によってケースバイケースです。
冒頭記載した通り、証拠の有無は、離婚条件を左右する重要な要素となりえますので、可能であれば別居前に一度弁護士に相談をすることを勧めます。
ひびき法律事務所でも、別居に先立つ法律相談において、どのような証拠を確保すればよいか、という点についても随時アドバイスを行っております。
ご不安な場合にはぜひ一度、ご相談ください。