別居中の児童手当の振込先の変更（北九州市のケースを例に）

別居期間中の児童手当

別居に際して相談されることの多い事柄の一つがが児童手当の支払先の変更です。

児童手当の変更手続が必要になる理由

たとえば、別居に先立ち、夫の収入が妻よりも多く、夫が児童手当の受給者となっており、夫の銀行口座が児童手当の振込先となっていたとします。

この場合に、妻が子供を連れて別居を開始したとしても、当然には、児童手当は、妻の口座には振り込まれません。

夫が婚姻費用とは別に、児童手当を妻に送金してくれればよいのですが、夫婦関係が悪化している場合、それも望めないということが往々にしてあります。

こうした場合、妻は、直接自分の口座に児童手当を振り込んでもらえるよう手続を行うことになります。

北九州市の場合

北九州市においても離婚を前提に別居が開始されたという場合には、児童手当の振込先を監護親に変更することが可能です。おそらくは、全国自治体類似の処理がなされていると思いますが、運用面では若干違いがあるかもしれません、

前提として住民票の移転が必要

北九州市の職員に確認をしたところ、父母婚姻中の場合に、振込先を変更するには、まず、住民票の移転が必要になるとのことです。

そのため、振込先変更手続に先立ち、監護親と未成年者の住民票を移しておくことが必要です。

※住民票移転の手続が即日完了すれば、同日に次に述べる受給資格の変更に関する申立書の提出もできるようです。

児童手当の受給資格に係る申立書の作成・提出が必要

振込先の変更には児童手当の受給資格にかかる申立書を作成・提出する必要があります。

北九州市であれば、各区役所の保健福祉課窓口において書式を受領することができますので、これに同居児童の氏名や生年月日・監護親の氏名や生年月日などを記載します。

なお、北九州市や福岡市の書式がダウンロードできないか、探してみましたが、見つかりませんでしたので、参考として、徳島市の書式を載せておきます。

資格に係る申立書を作成・提出する必要があります。

離婚協議中であることを明らかにできる書類が必要

振込先を変更するには次のような資料のいずれかを上記申立書とともに提出する必要があります。

• 協議離婚申し入れに係る内容証明郵便の謄本
• 調停期日呼出状の写し
• 家庭裁判所における事件係属証明書
• 調停不成立証明書

協議離婚申入れにかかる内容証明郵便の謄本について

上記に関して、内容証明郵便の謄本につき、「弁護士作成」であることはホームページ上には記載がありません。

この点に関し、１０年ほど前、「弁護士作成のものであることを要する」との説明をうけたので、２０２３年に改めて役所に確認をしてみると、協議離婚申入れにかかる内容証明郵便につき、「第三者の証明という意味で弁護士などの氏名・印鑑があったほうが確実かと思う、実際には持ってきていただいて、審査させていただくことになると思う」という微妙なニュアンスの回答でした。

今後、運用が変わることもありえると思いますので、北九州市で、児童手当の振込先の変更の疎明資料として「内容証明の謄本」を用いるときは、役場に弁護士作成のものでなくても受け付けてくれるかなど、事前に確認されたほうがよいように思います。

【北九州市の児童手当問い合わせ先】

なお、ひびき法律事務所では、離婚のご依頼を引き受けている場合には、上記内容証明郵便の発行にも当然対応いたしますので、この場合にはご心配は不要です。。

調停関係資料

調停関係の資料に関して言えば、調停期日の呼出状は、相手から調停の申し立てがあった場合、郵送で相手方指定の住所に届きますので、これを活用できます。

まあ、事件係属証明書は、調停事件の申立てが受理された後、家庭裁判所の書記官に申請をすることで発行を受けることができます。

福岡家庭裁判所の申請書の書式につきリンクしておきます。北九州の場合は、支部名の部分に「小倉」と書き添えて申請をすることになります。