面会交流調停の手続について

母が監護している子に会わせない、夫が監護している子に会わせない、そうした場合に利用されるのが面会交流調停の手続です。

面会交流調停とは

面会交流調停とは、子の監護に関する処分として、親と子の交流の方法について定める調停です。

家庭裁判所の調停員や家庭裁判所調査官の関与の下で、子供と会うことの可否・頻度・時間などについて話し合いが行われます。

この手続の本質は、「話し合い」ですので、父母が同意できることが調停成立の条件となります。

次の2種が典型例です。

  1. 別居中の監護親を相手に行う調停
  2. 離婚後の親権者に対する調停行う調停

面会交流調停の手続の流れ

面会交流調停の手続の流れは概して、以下のようになります。各調停期日においては、当事者の意向や子供の意向・様子などが調停委員を介して話し合われます。

  1. 調停の申立て
    ⇓(申し立てをしてから1か月後ないし2か月後)
  2. 第1回調停期日
    ⇓(1ヶ月程度後)
  3. 第2回調停期日
    ⇓(1か月程度後)
  4. 第3回調停期日以降・・・
    ⇓(調停期日 必要に応じて家庭裁判所調査官の調査・試行的面会交流)
  5. 調停終結(成立・不成立)
    不成立の場合は審判手続へ移行

調停の申立て

調停の申し立ては、面会を求める親が、面会交流調停の申立書(裁判所用・相手方送付するため、3通作成が必要です。)及び添付書類を家庭裁判所(相手親のジュ所を管轄する家庭裁判所)に提出する方法により開始します。

通常、添付書類として、次の書類の提出を求められます(ただし、各裁判所によって運用が異なり得ますので注意してください)。

・ 事情説明書1通

・ 連絡先等の届出書1通

・ 進行に関する照会回答書1通

・ 子(未成年者)の戸籍謄本(全部事項証明)1通(3か月以内に発行されたもの)

調停を申し立てると、申立書などが相手方送付されます。また、随時、家庭裁判所から申立人に第1回の期日調整の連絡が入ります。

調停期日

調停期日は、当事者の話し合いなどが行われる期日です。

期日の頻度

第1回の調停期日は、調停の申立てから1~2か月後が指定されるのが一般的です。その後、1ヶ月程度の間隔(場合によっては、もっと間隔がある場合もあります)をあけて、第2回期日以降の期日が開始されます。

グラデーションはあるものの、第1回目・第2回目の期日で家庭裁判所が事情を把握するための期日として用いられ、第3回目以降は家庭裁判所の調停員による紛争解決のための見解などを示して、当事者双方の意向・見解の調整に入っていくことが多いように思われます。

また、第3回目以降、必要に応じて、家庭裁判所調査官の調査や試行的面会交流が実施されることがあります。

各期日間の準備

各期日間においては、当事者は家庭裁判所から求められた事項などにつき、準備を行います。

期日間に、当事者は、たとえば、言い分や主張を整理した書面を作成して事前に提出をしたり、ご自身の認識や気持ちなどを記載した陳述書、証拠などを準備・提出したりすることとなります。

面会交流調停の期日における話し合いの方法

期日における話し合いは、調停委員を介して行われます。調停委員は、通常は男女2名で構成されます

  • たとえば、夫側が、調停委員のいる部屋に呼ばれ、調停委員に自分の意向を伝えたり、調停委員の見解を聞いたりします。
  • 次に、夫は調停室から退席し、妻が調停室に呼ばれます。妻は、調停委員に対して、自身の意向を伝たり、夫の意向や委員の見解を聞くなどします。
  • これが終わると、さらに夫が呼ばれ、上記のような聴取手続が繰り返されます。

このように、期日における話し合いは、調停委員による意向の聴取・確認を介して行われることとなります。

なお、調停室で話をしていない間は、当事者は、それぞれ別の待合室で待つこととなるのが多いです。

待合室は、家庭裁判所内の離れた場所に設置されており、夫と妻などの当事者が鉢合わせとならないようにとの配慮がなされているのが一般的です。

家庭裁判所調査官の調査

上記期日間に、家庭裁判所調査官の調査が実施されることも少なくありません、

当該調査は、子供の生活状況や意向などを確認するための手続きで、主として、調査官㋐、父母や子から事情や意向を聴取する方法により行われます。

また、試行的な面会交流が実施される場合もあります。

試行的な面会交流は、テストの意味合いをこめて、調停の終結前に、面会交流を一度(特別なケースによっては数度)行ってみる、というものです。調査官が調査の一環として、別室でモニタリングをしていることが多いです。

この試行的面会交流が、久しぶりの父子・母子の交流となることも少なくありません。

調停終結

当事者双方の話し合いが成立する、あるいは、これ以上話し合いを続けても平行線で、親展が見込めない、という場合、調停が終結します。

「家事事件及び人事訴訟事件の概況及び実情等」と題する資料によると、「子の監護に関する処分(養育費や面会交流などに関する処分)」に関する平均的審理期間は7.9か月とされています。

面会交流は審理期間が長期化しやすい事案ですので、平均的なケースでも、半年以上は要しているものと考えられます。

調停の成立

上記手続過程において、当事者双方の合意がまとまった場合には、調停が成立します。

この場合、面会交流の可否や頻度・時間などを定めた調停調書が作成されます。

これを裁判官が読み上げ、成立を宣言して調停が終結します。

審判手続きへの移行

相手方が出頭しない、話し合いがまとまらない場合、面会交流手続は不成立となり、調停が終結します。

この場合は、その後の手続は、審判手続へと移行します。

審判手続は当事者の合意なくとも、家庭裁判所の裁判官が、面会の可否や条件などを定めることが可能な手続です。

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