養育費の内訳を出せ!との主張について

養育費を月々請求する場合に、義務者、すなわち養育費を支払うべき者から、養育費の内訳を出せ、との要望を受けることがあります。

たとえば、母が子の親権者となるケースで、父親から内訳を出せ、と要望がだされるケースです。

法律的な名前を付ければ、養育費明細開示請求。

養育費を支払う義務者からこの内訳を出せとの要望は、どう取り扱うべきでしょうか。

明確な内訳はそもそも無い

養育費には、子供の養育に要する食費・光熱費・被服費、日用品費等、衣食住の費用に区分け、公立中学校・公立高校の学校教育学費相当額が含まれています。

一般的なこのように説明されます。

そして、義務者からの権利者に対する「養育費の内訳」を出すように、との要望をいただいたとしても、実情、上記以上に細やかな内訳を作ることは、通常しませんし、実情に沿ったものを作成するのは相当困難です。

もちろん、交渉の段階において、権利者側から、必要科目・金額を示して、これだけ必要なんだ、という場面では作成することもあるのでしょうが、標準的な養育費を請求する場合、通常、内訳を作成することはありません。

したがって、権利者において、養育費の明確な内訳を開示するという対応は通常しません。

内訳を出す義務もない

また、義務者が、通常の算定方式で養育費を請求する場合、義務者側が権利者に内訳を明示する義務もありません。

内訳を出さなくても養育費請求は可能

内訳を出さないと養育費を支払わない、との主張が義務者側の言い分になるのでしょうが、これには法律上の理屈がついてきません。

これに応じなくとも、義務者が標準的な算定方式に基づく養育費を請求することは可能です。

義務者の気持ちは分からないでもありませんが、権利者側として、この要望に応じてしまうと、内訳が示せないものにつき、権利者が払わない、と述べてくることが見えていますので、権利者はこの要望に応じるべきではないところです。

養育費分担調停の申し立てをするのが筋

義務者側から「内訳を出せ」との要望が出されるケースは、往々にして、義務者において、養育費の支払い額を限定したい、減らしたい、という趣旨に基づくことが多いと思います。

こうした場合、任意での話し合いにも相当程度の時間と労力がかかります。

権利者側としては、標準的な金額の養育費を超えた金額を請求するため、根拠を示したいといった場合は内訳を示す意味があるかもしれませんが、そうでない限りは、淡々と養育費の分担調停を家庭裁判所に申し立てるのが筋となります。

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