慰謝料額に影響:不貞・浮気の期間・回数及びその証拠について

不貞の期間・回数と回数は、慰謝料の金額に影響します。では、その期間や回数を証明するものには、どのような証拠があるのでしょうか。

 

不貞の期間・回数は、慰謝料の金額に影響。

不貞(浮気・交際)の期間、回数は慰謝料の金額に影響します。

不貞行為の慰謝料は一義的に決まっていませんが、不貞の期間・回数という要素に関して言えば、おおむね次のような傾向にあるといえます。

なお、回数が多い、という主張をする場合に、明確にこれを立証する必要はありません。往々にして、その頻度が多いとの立証でたります。

※なお、実際には、長短・頻度だけで慰謝料額が定まるのではなく、実際には、婚姻期間は子供の有無、不貞開始時期における夫婦関係、不貞発覚後の経緯など、諸般の事情が総合考慮されて、慰謝料が定まっています。頻度・回数だけで精度の高い予測をすることは不可能です。

不貞の期間や回数に言及した判例

いくつか、不貞の期間や回数に言及した裁判例を紹介します。

比較的長期間の例

まず比較的長期間の例です。

東京地裁令和4年8月24日判決

「被告とAとの不貞関係が約5年10か月継続しており、原告からの要請にもかかわらずこれが解消される見込みがないこと・・・などを考慮すれば、被告が原告に対して支払うべき慰謝料は200万円を下らないというべきである。」

 

東京地裁令和4年1月27日判決

「不貞行為は、散発的なものとはいえ長期間(平成18年10月11日頃から平成26年2月)に及び、また、全体としての回数も必ずしも少ないとはいい難いこと・・・その他本件に顕れた一切の事情を考慮すれば、・・・慰謝料の額は180万円と認めるのが相当である。」

 

次に比較的短期間の例です。

比較的短期間の例を二つ紹介します。

東京地判令和4年7月20日判決

「被告とAが2人で会ったのは平成30年8月7日から同月30日までの4回、期間にして1か月弱であり、比較的短期間といえること、証拠上認定することができる同人らの性交渉の機会は一度だけであることからすると、被告の不貞行為を重く評価することは相当ではない(婚姻関係の破綻を認め、結論として慰謝料100万円)。」

 

東京地裁令和3年12月24日判決

「証拠上認められる被告とAの不貞行為の期間はそれほど長期間でなく(1年未満)、また、原告とAの婚姻関係は不貞行為の発覚後も破綻するには至っていない・・・(判決で、「実際、不貞行為によっても婚姻関係が破綻するに至らなかった事案については慰謝料額を数十万円と算定する裁判例も多い」とも言及)。

 

不貞の期間・回数の証拠

上記のように、不貞の期間・回数は慰謝料額に影響しますが、そもそも、裁判ではその事実をどう証明するのか(反対の立場では、同反駁するのか)が問題となります。

実際、不貞の期間・回数を証明する客観証拠の確保は、単純な不貞行為の証拠よりもはるかに難しいです。

過去に起きた事実の証明となるので、そもそも客観証拠がない、というケースも少なくありません。

客観証拠について

その上で、なお考えられる期間・頻度に関する客観証拠としては、たとえば次のようなものがあります。こうした証拠がある場合、過去に遡れるだけ遡って確保しておくことが重要です。

・配偶者・浮気相手のメール・ライン

・配偶者の写真データ

・配偶者の手帳・日記

主観的な証拠について

他方で、主観的な証拠として、配偶者の供述・浮気相手の供述があります。配偶者や浮気相手が説明をした事実は、浮気をされた側に有利に援用することが可能です。

実際、裁判で、不貞行為の開始時期・終了時期・頻度が認定されているケースでは、相当程度、浮気をした本人や相手方の自白・説明が基にされているように思われます。

もっとも、この自白・供述に際し、配偶者・浮気相手が素直に期間・頻度を自白すればいいのですが、これが過少に説明される場合もあります。

少しでも責任を軽くするというつもりで、意識的、あるいは無意識に過少に説明をすることがあるのです。

こうしたケースに対しては、慰謝料を請求する側は、たとえば、二人が出会った時期、経過を問う過程で不自然・不合理な点を突く、といった形で、実際の交際期間もっと長い、その頻度はもっと多いのではないか、との裁判官の心証の獲得を狙っていくことになります。

なお、こうした尋問がうまくいくかは、他にどういった客観証拠があるのかなど、弁護士がどのような武器・攻撃材料を持っているかによっても左右されます(証拠による攻めどころがあるのかどうか)。

上記のとおり、不貞の期間・回数は、浮気をした配偶者や浮気相手の説明に基づく認定となることも少なくないため、わずかでも証拠・事情を積み重ね、浮気をした配偶者に過少に説明させない、させにくい状況をつくることが重要です。

>北九州の弁護士ならひびき法律事務所へ

北九州の弁護士ならひびき法律事務所へ

CTR IMG