「離婚裁判の証拠」にはどんなものがあるのでしょうか。メールやラインも証拠になるのでしょうか。
離婚裁判は証拠主義
裁判は、離婚の協議や調停と違って証拠主義です。
「証拠主義」というのは、事実認定は、証拠に基づかなければならない、という考え方を指します。
離婚裁判では、証拠に基づいて、法定離婚原因の有無などを判断していきます。
裁判の証拠となりうるもの
裁判の証拠となり得るものに基本的に制限はありません。
戸籍や住民票、登記事項証明書などの公的書類はもちろん、探偵が作成した報告書ももちろん証拠となりえます。
また、当事者間で行われたメールやラインのやりとりも証拠となり得ますし、「写真」や「動画」も証拠とすることが可能です。
さらには、たとえば、相手と第三者とのメール・ラインのやりとりやフェイスブックの記載なども、証拠となります。
加えていえば、自分で作成した日記や陳述書も証拠となり得ます。
証拠の価値について
裁判の証拠となり得るものに基本的に制限はない、と述べましたが、提出する「証拠の価値」には証拠ごとに大きな差があります。
主観的証拠と客観的証拠
概して言えば、「一方当事者の意思」に基づいて作成できる証拠の価値は、それほど高くありまえせん(これを主観的証拠言います。裁判では、次に述べる客観証拠と比して、補充的に利用されることが多いです。)。
それよりも、相手方とのメールのやり取りや、写真・動画といった客観的な証拠の方が、概して証拠価値は高いです。
証拠価値に着目して主張を組み立てる
当事者の方々が弁護士の支援なく訴訟を追行している場合、もちろんすべてのケースでありませんが、提出証拠が「全体として無茶苦茶」になっていることがありました。
私も、後からその事件に関与して、整理が大変だった記憶があります。提出された証拠をよくよく精査してみると、中には、「使える証拠」、「価値のある証拠」というのも大量に出された証拠の中に混じっていたのですが、当時の裁判官はその証拠の意味を全く理解していませんでした(というよりも、途中から、当事者がどんどん証拠を出してくるから、「各証拠をちゃんとみるのをやめたのではないか」と思われるような反応です。」)。
証拠の濃淡ではありませんが、各証拠には証拠価値に大きな差・グラデーションがあり、「使える証拠をいかに活かすか」、「立証力の高い客観証拠をどのように補強していくか」などの点に焦点をあてて主張を組み立てる方が、価値の乏しい証拠をたくさん並べるよりもよほど有意義です。
証拠の関連性と証拠価値
また、証拠と証拠の関連性も重要です。
たとえば、ある写真だけだと意味が分からないが、その内容を説明するような内容が窺われるメールやラインがあれば、その写真の位置づけ・意味が明確になり、写真がもつ証拠価値・証明力(裁判官の心証に影響を与える力)がぐっと上がることがあります。
「男女二人が食事をしている様子」が写真に写っているとして、その男女間のメールに「○○での食事楽しかったね、また旅行行こうね」記載があれば、その男女の食事が、男女関係の親密さを示すものとして機能します。
証拠提出に際しては、この証拠と証拠とをつなぐ主張を補うことで、裁判官の心証に与える影響は大きく異なり得ます。
離婚裁判にお悩みなら弁護士にご相談ください。
上記の通り、裁判は証拠主義です。
裁判でよい結果を得られるか否かは、「価値のある証拠」がどの程度あるか、これをどの程度活かせるか、にかかっていると言っても過言ではありません。
その証拠で何をどの程度証明できるのか、裁判官を説得するに十分かを精査・検討することが重要となります。これを毎日の業として行っているのが弁護士です。
離婚裁判にお悩みなら、是非一度、弁護士にご相談ください。