今回は、離婚調停の申立費用・弁護士費用の負担についてです。
離婚調停の申立費用
離婚調停は、家庭裁判所にて行う手続です。
手続を行うには、申立に際して、「印紙」と「郵便切手」を裁判所に納める必要があります。
- 印紙=1200円
- 郵便切手=1000円程度
この郵便切手の「金額」「内訳」をどのように納めるかは、家庭裁判所ごとに異なります。
たとえば、ある家庭裁判所では、合計735円とされ、内訳としては、84円切手5枚、50円切手5枚、10円切手5枚、2円切手5枚、1円切手5枚などと納めるべき額の切手の枚数が指定されます。
なお、上記のほか、離婚調停を行うには「戸籍謄本」などの添付を求められることがあり、実際には、各種書類を取得するための実費などが必要となります。この費用についても、相手に負担を求めることはできません
弁護士費用の相場
次に弁護士費用についてです。
インターネットなどでは、離婚調停の弁護士費用の相場は、次のように説明されていることが多いようです。
- 着手金 20万円~30万円程度
- 報酬金 20万円~30万円程度
慰謝料や財産分与などの財産給付を伴う請求がある場合、これに一定額が加算されます。
ひびき法律事務所でも、弁護士費用の目安を次の通りとしています。
【離婚協議・調停】
着手金 | それぞれ20 万円から30 万円程度 |
報酬 | それぞれ20 万円から30 万円程度 |
備考 | ※1 但し、離婚交渉から受任していた後、さらに調停を受任するときは,上記の額の2分の1のみ追加着手金とする。 ※2 財産分与,慰謝料等の請求は,上記とは別に民事事件の例による(後述)。 |
【慰謝料・財産分与に関する費用】
訴訟手続 | 経済的利益の額 | 着手金 | 報酬 |
300 万円以下の場合 | 8% | 16% | |
300 万円を超え3000 万円以下 | 5%+9 万円 | 10%+18 万円 | |
3000 万円を超え3 億円以下 | 3%+69 万円 | 6%+138 万円 | |
※但し、最低着手金の金額は10万円 ※離婚調停から慰謝料・財産分与に関する請求を受任しており、継続して訴訟を受任するときは、上記額の2分の1のみ追加着手金とする | |||
調停/審判 | 経済的利益の額 | 着手金 | 報酬 |
上記訴訟事件等に記載の額に準ずる。ただし,その額を3分の2に減額することができる。 ※ただし、最低着手金の金額は10万円 |
調停費用や弁護士費用はどちらが払うのか
上記のような離婚調停の申立費用・弁護士費用は、誰が負担するのでしょうか。
調停の申立費用について
家庭裁判所に納めるべき費用(印紙代・郵便切手代)は、申立人の負担とされます。
妻が離婚調停を申し立てた場合、妻がその費用を支払うことになります。夫が離婚調停を申し立てた場合は、夫負担となります。
なお、たとえば、夫が離婚調停を申し立てたケースで、妻が、これに対抗して婚姻費用の分担調停を申し立てたとした場合、離婚調停の申立費用は夫の負担、婚姻費用分担調停の申立費用は妻の負担となります。
いずれも申立をした側の負担となるわけです。
弁護士費用について
では、弁護士費用はどうでしょうか。
依頼した側が負担する
弁護士費用は、弁護士に依頼をした側の負担となります。
たとえば、離婚調停を申し立てた妻が弁護士に調停手続の代理を依頼した場合、その費用は妻の負担となります。
反対に、このケースで、夫が、離婚調停の相手方として、弁護士に依頼をした場合、その費用は夫の負担となります。
離婚原因や調停の結果に左右されない
上記の結論は、離婚の原因や調停の結果に左右されません。相手方が有責配偶者であった場合も同様です。
たとえば、妻が弁護士に依頼をして、相手方がその責任を認めて、離婚が成立した、慰謝料を支払った、といったケースでも、妻が依頼した弁護士の費用は、妻負担となります。
なお、夫が離婚調停を申し立てたところ、妻が、これに対抗して、弁護士に依頼の上で、婚姻費用の分担調停を申し立てたとしたとします。
この場合、「夫が生活費を払わないから、弁護士を頼まざるを得なかった、夫が生活費を払ってくれれば、弁護士に頼む必要は無かった」にも関わらず、弁護士の費用が妻の負担となるのはおかしいのでは?とのお気持ちになられる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、現状の法制度の下では、この場合の弁護士費用の負担は妻側の負担となります。