遺贈とは
遺贈とは、遺言書により、法定相続人以外の第三者に相続財産を贈与することをいいます。
遺贈には2種類あり、①財産の全部または割合をもって贈与する「包括遺贈」と、②個々の特定の財産について贈与する「特定遺贈」があります(民法964条)。
包括遺贈
包括遺贈の具体例
「A(遺言者)は、財産の5分の1をBに包括遺贈する」
具体例の意味
Bは、Aの財産の5分の1を贈与されたことになります。Bの立場にいる人のことを、受遺者(遺産を受ける者)と言います。包括受遺者であるBは、法律上の規定により相続人と同じような立場になるため(民法990条)、遺言で示された割合に応じてプラスの財産だけでなくマイナスの財産の承継する(引き継ぐ)ことになるのは注意が必要です(民法896条本文、899条)。
そのため、Bさんは、Aさんの借金のうち5分の1を承継することになります。
遺贈を断る方法
上記のとおり、包括遺贈は、プラスの財産だけでなく、マイナスの財産も承継することになります。「遺贈をする」と書かれた人、具体例でいえばBさんは、遺贈を断るため、自己に包括遺贈がされたことを知った時から3か月以内に家庭裁判所に対して遺贈放棄の申述をしなければなりません。
包括遺贈のデメリット
①包括遺贈は、その割合に応じて、マイナスの財産も引き継ぐことになる。
②遺産分割協議に参加しなければならなくなる。
特定遺贈
特定遺贈とは、遺言書により、法定相続人以外の第三者に、特定の財産を贈与するものです。包括遺贈との違いは、相続財産の割合に応じて贈与するのに対し、特定遺贈は、特定の財産を贈与することです。
特定遺贈の具体例
「Cは、○○の土地をDに遺贈する」
※土地・建物の不動産の場合、目録をつけ、正確に当該不動産を特定しなければなりません。
具体例の意味
Dさんは、○○の土地について贈与されたことになります。
特定遺贈のデメリット
特定の財産しか贈与できない。
不動産の場合、相続人による登記手続きの協力が必要。※遺言書に、Dさんを遺言執行者に指定しておくことで、相続人の協力がなくても、Dさんは不動産の登記手続きをすることができます(民法1012条2項)。
遺贈に関して、弁護士にできること
意思に適った遺贈を実現させるため、遺贈の内容を精査・検討し、遺言内容の決定をお手伝いすることができます。
また、遺言執行者として、弁護士を選任していれば、遺贈を受ける人に煩雑な手続きをできるだけさせないですみます。
さいごに
遺言書による遺贈も、内容によっては、遺贈を受ける人に大きな負担をかけ、結果として遺言者の意思に反することとなりかねません。そのため、遺言書の作成をお考えであるのなら、ご気軽にご相談ください。
北九州・小倉の法律事務所であるひびき法律事務所では、若手弁護士からベテラン弁護士まで在籍しており、相続に関するお悩みに対応可能です。少しでも相続でお悩み・ご相談がありましたら、気軽に相談予約のお電話ください。