遺言の種類

 遺言には、公正証書遺言。自筆証書遺言・秘密証書遺言の三種類があります(民法967条)。
 本稿では、公正証書遺言について、解説していきたいと思います。

公正証書遺言とは?

 公正証書遺言とは、公証役場で、2人以上の証人の立ち会いの下、遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授して行う遺言です。口授とあ、遺言者が自ら言葉を発した言葉そのものにより、財産をどうするのかといった遺言の趣旨が理解できることを意味します。
 そのため、公正証書遺言を作成する場合、公証人が、口授により伝えられた遺言内容を筆記し、これを遺言者と証人に読み聞かせ、遺言者と証人とで筆記が正確であることを承認できれば、各自が署名押印し、公証人が民法969条で定められた方式に従ってものである旨を記載し、署名押印します。

口頭で話せない人は公正証書遺言を作成できないの?

 公正証書遺言は口授を行う必要があるため、口頭で話せない人は公正証書遺言を作成できないとも考えられます。
 民法では、口頭で話せない人や耳が聞こえない人が公正証書遺言を作成できるよう定めており、通訳人の通訳を用いて公正証書遺言を作成することができます(民法969条の2)。

公正証書遺言のメリット

 ①公正証書遺言は、原本が公証役場に保管されるので、遺言書の偽造を防ぐごとができます。
 ②自筆証書遺言の場合に必要な、遺言書の検認手続きが不要
 ③相続人であれば、被相続人がなくなった後に公証役場の検索システムで遺言の有無を確認できるので、公正証書遺言の控えをなくしても大丈夫
 ④遺言能力をめぐる紛争になるリスクが小さい(必ず争われないわけではないことに注意)

証人がいない場合はどうすればいいの?

 公正証書遺言を作成する場合、証人が必要です(民法969条1項)。
 また、証人は、遺言者から独立した客観的な立場が求められるため、推定相続人・受遺者・配偶者・直系血族は証人になることができません(民法974条2項)。
 加えて、未成年の場合、遺言者の遺言内容を十分に理解して、遺言者の真意に基づくどうかの判断について不安が残るので、証人となる資格がありません(民法974条1項)。
 このような制約上、遺言者に証人となってくれる第三者がいない場合、公証役場から証人を紹介してもらうことができます。

さいごに

 公正証書遺言を作成する場合、公証役場で口授する前に、法律事務所で遺言の内容を決めていることがほとんどです。
 そうしなければ、遺言に不備があったりするなどして、遺言者の意思にそぐわない結果となるおそれがあるからです。
 遺言書を作成する場合、弁護士に相談することをおすすめします。
 北九州・小倉の法律事務所であるひびき法律事務所では、若手からベテランまで在籍しており、様々なお悩みに対応可能です。お悩みを解決するために、お気軽にご相談ください。