本記事では、任意整理を弁護士に相談・依頼してから、和解・支払開始までの手続の流れについて説明いたします。

なお、任意整理の手続の特徴や内容は別ページで解説しています(詳細をみる

任意整理のご相談から依頼までの流れ

任意整理を弁護士に依頼される場合の手続の流れは下図のとおりです。法律相談から開始して、各債権者との和解を目指すことになります。

法律相談

まずは、借金・負債の状況を確認し、任意整理が借金問題の解決手法として適切なのかを弁護士にご相談ください。

法律相談に際しては、「昔の借金につき時効援用の手続の利用により支払いを免れることができないか」、「債務の総額・月々金融機関などに支払いができる金額」などを勘案し、任意整理が実現できそうか否かを打ち合わせていくことになります。

大雑把でも構わないので、返済をしなければならない貸金業者・金額の一覧があると、相談がスムーズにすすみます。

弊所の相談費用は30分5000円+消費税です。ただし、そのまま任意整理などのご依頼を引き受ける場合、個別の法律相談料は頂戴しておりません。

また、法テラスを利用できる場合には、無料で法律相談を行うこと可能です(※法テラス利用には収入・資力などの一定の条件があります。弁護士にお尋ねください。)




※スマートホンの場合、上記をクリックいただくことでお電話が可能です。

ご依頼

上記相談の上、任意整理の方針が定まったら、弁護士との間で、委任状・委任契約書の作成をいたします。

委任状は、弁護士に仕事を任せる、ということを証明するための書類です。委任契約書には、弁護士費用等が記載されています。

委任契約書の作成に際しては、弁護士費用も含めて重要な点を弁護士から説明させていただきます。ご不明点等ございましたら、お気軽にお尋ね下さい。なお、一般的な弁護士費用の目安は次のとおりです。
【任意整理の弁護士費用の目安 参照:【費用】 債務整理・倒産

事業者 債権者1社当たり3万円~
一般個人 債権者1社当たり3万円~
備考 ※1報酬は特に契約で定めた場合を除き、発生しない。

※2 特定調停も、これに準ずる。

弁護士費用は、委任契約書作成後に頂戴しております。

受任から和解、支払い開始までの流れ

次に、弁護士が受任してから支払い開始までの流れについて説明します。

受任通知の送付

弁護士は弁護士費用は、委任契約書作成後に頂戴しております。業務を引き受けると、受任通知と題する書面を送付します。

これは相手方に弁護士が介入することを示す書類です。

相談・受任日に直ちに送付することもあれば、銀行預金の口座凍結などにより、生活そのものができなくなることを避けるため、日を空けて、送付することもあります。

受任通知が届いた段階で、消費者金融やクレジットカード会社・銀行などからの請求・連絡などによる取立は一旦ストップします。

【よくある質問】

Q 弁護士から受任通知が送付されると、銀行口座が凍結されると聞いたんですが・・・

A はい、たとえば、弁護士が、西日本シティ銀行などの銀行を相手取って受任追血を送付すると、その銀行の口座はいったん凍結されます(場合によっては預金と借金とが相殺されます)。

凍結される口座に給料が振り込まれていて、凍結がされると当面の生活費自体ができなくなる、といったことをさけるため、受任通知送付のタイミングは弁護士と依頼者とで相談の上決定することになります。

なお、受任通知送付後に振り込まれる給与については、後の否認などを避けるため、銀行は支払に応じてくれることがほとんどですが、それでもその支払いを受けるまでにひと手間・一苦労ありますので、ケースによっては、給与の振込先口座の変更をすることも検討対象となります。

債権調査・弁済計画の立案

弁護士の受任通知の送付に対して、貸金業者などからは、債権総額や取引の履歴が記載された書面が弁護士宛に開示されます。

弁護士は、その資料の精査の上で、支払うべき債権総額を確定し、月々の返済計画につき、立案を開始します。

月々の返済額については、法律相談のときから、ある程度の見通しをつけておきますが、当初の法律相談で想定されていた金額と債権調査の結果とは、多かれ少なかれ、差異があるのが普通です。

また、任意整理に対する債権者側の言い分・意向もこの段階で初めて把握できます。

そこで、債権調査が終わった段階で、依頼者の皆様と弁護士とで、改めて月々の返済額(弁済期間)につき、ご相談・お打合せをさせていただくことになります。

債権者との交渉

上記依頼者との打ち合わせを踏まえ、弁護士は貸金業者などと交渉を開始します。

話し合いの内容の中心は、返済の方法(月々の返済額と返済期間)です。

借金を毎月いくら返済するか、また、何年に渡って返済するかが主要な協議内容となります。

なお、ケースバイケースですので、確たることはいえませんが、弊所では、3年から5年の間が弁済期間として、任意整理が成立することが多くなっています。

【弁済総額が120万円のケースを例に】

たとえば、弁済総額が120万円であるといったケースでは、たとえば、2万円ずつ計5年間返済するのか、3万円ずつ計4年間返済するのか、といった点が債権者と弁護士の間で協議されます。

もちろん、弁護士は、依頼者の意思や毎月の支払可能額を慎重に伺った上で、消費者金融等と協議をすることになります。

なお、上記の例では、5年間で返済するほうが、4年で返済するよりも、債務者の期限の利益(支払期限を長くできることによる利益)は大きいといえます。

ただ、他方で、弁済資力との関係では、早く借金問題を終わらせたい、と4年での返済を希望される方もいらっしゃいます。

弁護士は、こうした依頼者の弁済可能性・意向を踏まえて、債権者と協議をすることになります。

和解成立/弁済開始

債権者との協議がまとまった場合、債権者と債務者間で、和解書(合意書などと題することもある)を作成します。

この和解書の作成をもって、任意整理はひと段落となります。

その後、依頼者の皆様からの支払いが開始します。実際の支払い開始は、同和解書作成の翌月あるいは翌々月などからとなることが多いです。

任意整理をされた依頼者は、和解成立後、同和解書に定められた支払方法によって支払いを継続する限り、利息のカットの利益を享受できます。

【弁護士としての任意整理のやりがい】

任意整理に関して、実は、弁護士として非常にうれしい瞬間があります。

それは、任意整理で決めた弁済計画について、3年後、あるいは5年後、依頼者の方からご連絡をいただくときです。

「無事に返済できました」「5年は長かったですけど、返し切れました」、多重債務に悩んでいた方から、こうしたお電話を頂戴したときが何ともやりがいを感じる瞬間です。

弁護士が任意整理を行うとき、依頼者の方々から、月々返済可能な金額をお伺いして、弁済計画を立案しています。

しかし、3年から5年との期間において、なんらかの入用の費用があったり、特別な出費があったり、という事情が皆様にはあるはずです。

こうした事情をも乗り越えて、「債務を完済した」とのご連絡を受けたとき、弁護士として仕事をしていてよかった、と心から思います。