今回は、弁護士の選び方です。

弁護士・法律事務所を選ぶときにも悩みが生じる

前回の記事で、弁護士と法律相談をする際、そもそも弁護士の探し方が分からない、という方に向けて、弁護士の探し方4選を書きました。


他方で、弁護士へ依頼を考えている場合、探す、法律相談を受けるだけでは不十分です。

実際に弁護士を探してみて、現に法律相談になった場合、次に、その弁護士を選んでよいのか、あるいは、ほかの弁護士を探したほうがいいのかに悩まれるかもしれません。

要は、その弁護士があなたにとって当たりなのかそうでないのか、そこが問題となります。

 

弁護士選びのヒントにしてほしい6つの視点

そこで、以下、弁護士を選ぶ際、失敗しないようにすむための6つの視点を示します。弁護士の選び方、いろいろな法律事務所で解説されていますが、その中でも言及の多い視点6つを選びました。

 

視点1 その分野に専門性を有しているか

たとえば、交通事故を任せたい、建築訴訟を任せたい、そう言った場合に、その分野に対してその弁護士が専門性を有しているか、という視点です。

これは、たとえば、事務所のホームページや弁護士紹介サイトなどで一定程度確認することができます。

ただ、その記載には、前回の記事にも書いたとおり、宣伝・ブランディングの要素があるので、その分差し引いて考える必要があります。

また、いわゆる「街弁」(一般市民の方・中小企業などから依頼を受けて業務を行う街の弁護士。企業法務中心ではない事務所)において、特定分野だけに特化している、という事務所はほとんど無いのではないかと思います。

いわゆる街弁と呼ばれる弁護士は、注力分野はあるにせよ、離婚も交通事故も、相続も企業法務も、それぞれ対応して、事務所の総合力で勝負している、といった事務所が多いように思います。

 

視点2 実績・経験年数

上記専門性の話ともリンクしますが、その分野に対して、解決実績・経験があるか、が二つ目の視点です。

この点、ホームページなどに記載の、「年間〇万件の相談実績」「累積〇万件の解決実績」などは、正直あてにならないように思っています。

何をもって相談としたのか、何をもって解決としたのか、その解決の内容は本当に依頼者にとってベストなものだったのか、内訳がわからないからです。

弁護士の経験については、たとえば、法律相談でお会いした先生に、ずばり、先生○○の経験っておありですか?あるいはこうしたケースはよくありますか?と聞いてみるのがいいです。

ちゃんと答えてくれるか否かはその先生次第ですが、私は経験がなければない、あればある、ときちんと答えます。

また、弁護士経験年数は弁護士にいつ登録をしているか、を調べればすぐにわかります。ちなみに、2~3年程度の経過により、街弁であれば、一般的には、交通事故・債務整理・離婚・相続あたりの経験はある程度積んでいるのではないかと思います。

補足

この点につき、相談者の皆様の立場に立って、どうやって弁護士の経験や能力を見分けたらいいのか、をさらに考えました。

一つの結論を次の記事に書いています。ご参照いただけますと幸いです。

参照:「法律相談時の弁護士からの質問は弁護士選びのポイント


視点3 費用が低廉か

これはわかりやすい基準ですね。弁護士費用が安いか高いか、というものです。

確かに弁護士費用が安ければ、それに越したことは無いというのも、わからないではないです。

ただ、念のため、着手金・報酬といった基本的な費用項目が安かったとしても、日当やら事務手数料やらいろいろな諸費用が加算されて結局高くならないか、という点については、注意を払うようにしてください。

また、法律相談は無料でも、案件を依頼する場合は相場より高額、こうしたケースにも注意が必要です。

ちなみに、まったくの主観的な意見ですが、テレビやウェブで広告をバンバン出している、CMをたくさん出している、こういった事務所は費用が高額になりがちです。特に債務整理と離婚関係。

広告宣伝費は、結局お客さんからの売り上げで賄われるのですから、当然と言えば当然ですが・・・。

たまに、自己破産なんかで、そんな金額を弁護士に払ったの?と思わされることがあります。弁護士費用の多寡は、事務所ごとに相当違いがあります。この点、よくよく注意が必要です。

 

視点4 料金体系が明確か

上記とも関連しますが、料金体系が明確化どうかも一つの判断基準です。

着手金、報酬は成果によって変動するので、確かにわかりにくいところがあります。また、離婚手続など、料金が加算式になったりする類型のものもあるので、ずばりいくら、との記載が難しい案件があるのも間違いありません。

ただ、それでも、法律相談に際しての費用の説明で、説明しきれない料金体系というのはないと思います。その説明を聞いても良くわからないという場合、そういった料金体系を採っている法律事務所は避けるべきだと思います。

 

視点5 連絡はスムーズか、コミュニケーションがとりやすいか

私は、弁護士会で、一般市民の方の弁護士に対する苦情を受け付ける仕事をしていたことがあります。

この苦情として頻繁に登場するのが、連絡がとれない・返事がない、遅いといったものです。

弁護士はずっと事務所にいるわけではないです。場合によっては出張により数日事務所を開けることもあります。

ただ、電話連絡があって、その日あるいはその翌日に折り返しがない、こうしたことが頻繁に続くと、依頼者にストレスがかかるのも当然です。

連絡がスムーズか、コミュニケーションがとりやすいかは、弁護士を選ぶ目安の一つにしてよいと思います。

 

視点6 人柄は良いか、相性はよいか

人柄、相性は多くの弁護士・法律事務所が判断の目安にしていました。ここに「熱意」を挙げるサイトもありました。

これは当たり前といえば当たり前で、人柄・相性は良い方がベターに決まっています。熱意もあったほうがいい。

ただ、人柄・相性は、ホームページの記載やCMではわかりません。これが分かるのは、法律相談や事務所訪問のときです。

その際には、ぜひ、その弁護士の人柄や自身との相性を検討されてみてください。

 

まとめ

以上、弁護士選びの際、ヒントにしてほしい6つの視点を示しました。

弁護士選びには、ほかにもたくさんの視点があるかもしれませんが、基本的な判断は上記の6つの視点で可能なのではないかと思います。

弁護士選びの参考にしていただけると幸いです。