QandA

よくある質問をまとめました。ご参考になりますと幸いです。

離婚全体について

まず離婚全体についてです。

離婚をしたいのですが、どういう方法がありますか。

離婚には、①協議離婚、②調停離婚、③審判離婚、④裁判離婚があります。
①協議離婚(民法763条)は、二人が離婚をすることについて合意をしている場合に、離婚届を提出することによって成立します。離婚について話し合いができている場合は、この方法により離婚をするケースが多いです。
②調停離婚は、調停委員会が当事者を仲介し、合意の成立を目指す手続きです。当事者による話し合いがうまくいかなかった場合、裁判所に調停を申し立てることになります。
③調停によっても解決ができなかった場合であっても、主要部分については合意ができているときなど、改めて離婚訴訟を提起させるのは無駄が多いため、家庭裁判所が職権で調停に代わる審判を行うことがあります。
④調停による話し合いでも離婚の合意ができなかった場合、家庭裁判所に訴訟を提起し、裁判離婚をすることになります。

離婚をしようか迷っています。どこに相談すればいいでしょうか。

離婚をするかどうかのご自身の意思決定に関して、弁護士が相談にのれることは少ないと思います。しかし、離婚にあたり、法的手続き関係や、親権に関する疑問、養育費等の金銭関係の見通しを立てたいという場合、弁護士がご相談にのれる場合があります。
また、離婚調停を利用する場合は、弁護士をつけず本人が申し立てをすることも多いので、家庭裁判所に直接問い合わせをすることができます。

離婚をするときに弁護士を依頼するメリットは何ですか。

協議離婚の場合、スムーズに話合いが進めば弁護士を依頼する必要性は低いといえます。
しかし、話合いが進まず、離婚に向けた交渉自体がストレスである場合、弁護士を依頼することで交渉を弁護士に任せることができ、ご自分で対応する負担から解放されるというメリットがあります。
また、離婚にあたっては、親権、子どもとの面会、養育費、財産分与、慰謝料など、取り決めをしておいた方がいいことが多く、法律の専門家である弁護士に依頼することで、公正証書を作成する等、有利な条件で離婚を成立させることができるというメリットもあります。
そのほか、調停や裁判をするに至った場合でも、適時の法的アドバイスを受けることができるため、無用な時間をかけないですむというメリットがあります。

離婚をしたいのですが、相手が同意してくれません。どうしたら離婚できますか。

当事者の話し合いでは相手が離婚に同意してくれない場合、弁護士に代理人として離婚の交渉を依頼することが考えられます。
弁護士の交渉によっても相手が離婚に同意しない場合、家庭裁判所に、離婚調停を申し立てることができます。調停を申し立てた場合、裁判所から相手に呼び出しがいくので、相手方が話合いに応じる可能性があります。
調停不成立の場合、離婚裁判を起こすことになります。ただし、裁判上の離婚が認められるためには、離婚事由(民法770条1項各号(①配偶者の不貞行為、②配偶者の悪意の遺棄、③配偶者の生死が3年以上不明、④配偶者の回復の見込みのない強度の精神病、⑤その他婚姻を継続しがたい重大な事由))がある必要があります。

相手が離婚届を書いてくれないので、代筆して提出したいのですが、有効でしょうか。

相手に離婚意思がなければ、たとえ離婚届が出されても離婚は無効です。勝手に離婚届に相手方の記入をして出した場合、公正証書原本不実記載罪・有印私文書記載罪・有印私文書行使罪に問われる可能性があります。
しかし、一度離婚届が受理され戸籍に記載されてしまうと、離婚の無効を確認する判決を得ない限り戸籍を訂正することはできません。

私は離婚に同意していないのに、相手が離婚届を勝手に出しそうです。止める方法はありますか。

自己の意思に反する離婚届が受理されるのを阻止するためには、本籍地の市区町村長に対して不受理申出書を提出することができます。不受理申出書の用紙は地区町村の役場で入手できます。

お互いに離婚をすることには合意しているのですが、子どもの親権・養育費・財産分与等、条件について折り合いがつきません。どうしたらいいですか。

とにかく早く離婚をしたい場合は、離婚届のみを先に提出してしまうこともできます。しかし、諸条件の合意を後回しにしてしまうと、後のトラブルにつながる可能性もあります。
そこで、離婚調停を申し立て、その際に、未成年子の親権者指定、子の養育費、財産分与、慰謝料の申し立ても同時に行うこともできます。

できるだけ離婚をしたことを周りに知られたくありません。姓を変えずに離婚をすることができますか。

婚姻により氏を変えた方の夫又は妻は、離婚によって法律上は当然に婚姻前の姓に戻ります。しかし、離婚の日から3カ月以内に、「離婚の際に称していた氏を称する届」をした場合には、離婚の際に称していた氏を使用することができます。子の届出は、離婚と同時にすることもできます。

別居中のことについて

次に、別居中のことについてです。

離婚を視野にいれていて、別居をしたいのですが、生活費や子どもの養育費を相手に支払ってもらうことはできますか。

婚姻した夫婦と子の生活費(婚姻費用)については、資産や収入、社会的地位等に応じ通常の社会生活を維持するために夫婦が互いに分担するものとなっています。一般的に、収入の多い方が少ない方に対して婚姻費用を支払うことになります。なので、妻が専業主婦であり収入がない場合などは、多くの場合、夫に対し、当面の生活費や子の養育に必要な金額を請求することができます。
婚姻費用の支払いにつき、当事者の協議で合意に達しなかった場合、家庭裁判所に調停を申し立て、調停員との話合いを交えて決めていくことになります。

別居中の相手の生活費を負担していますが、私の方の収入が減り、相手の生活費の負担が苦しくなりました。どうしたらいいでしょうか。

調停や審判により婚姻費用の負担額を決めた場合であれば、家庭裁判所に対し、負担が不相当となった事情を申し述べ、前回の合意・前回の調停(審判)の変更取消調停(審判)を申し立てることができます。

慰謝料について

次に慰謝料についてです。

配偶者が浮気をしているので、離婚を考えています。慰謝料は必ずもらえますか。

慰謝料請求とは、精神的損害に対する損害賠償請求のことをいいます。この損害賠償請求をするには、まず、不法行為があったことを立証しなければなりません。
配偶者が浮気をしていることを理由として慰謝料を請求する場合は、配偶者が浮気をしたこと(不法行為があったこと)を立証する必要があります。十分な浮気の証拠があれば、慰謝料請求が認められることがあります。しかし、浮気の証拠を示すことができない場合、慰謝料を請求することは難しいでしょう。
また、たとえ浮気をしていたとしても、高額な財産分与を受けた場合で、その財産分与には慰謝料の意味合いが含まれているときは、財産分与とは別に慰謝料請求をすることは難しいでしょう。

配偶者の浮気により大変ショックをうけています。慰謝料として1億円くらい請求したいのですが、認められるでしょうか。

離婚にともなう慰謝料請求とは、精神的損害に対する損害賠償請求のことをいいます。この損害賠償請求をするには、まず、不法行為があったことに加え、精神的損害を被ったことを立証する必要があります。
しかし、精神的損害を金銭で評価するのはなかなか難しいのが現実です。浮気の期間や頻度、態様により評価される部分もありますが、一般人が支払うことが現実的とはいえない高額の慰謝料請求は、なかなか認められません。

浮気相手にも慰謝料を請求することはできますか。

夫婦の一方の配偶者と肉体関係を持った第三者は、故意または過失がある限り、他方の配偶者の権利を侵害したといえるので、他方配偶者の精神上の苦痛を慰謝すべき義務がある、とされています。
なので、不倫関係であると分かって浮気をした浮気相手に対しては、慰謝料を請求することがでる場合があります。

財産分与、年金分割について

次に財産分与、年金分割についてです。

財産分与とはなんですか。何が対象になりますか。

財産分与とは、離婚時の経済的格差を調整するために、婚姻中に築いた財産の給付を求めることができる制度です。
財産分与には、①夫婦が婚姻中に協力して蓄財した財産の清算(清算的要素)、②離婚後の経済的弱者に対する扶養料(不要的要素)、③相手方の有責な行為により離婚を余議なくされることについての慰謝料(慰謝料的要素)がありますが、財産分与の中心的要素は清算的要素です。
清算的財産分与において、財産分与の対象となるのは、共有財産(夫婦共有名義の財産など)と実質的共有財産(婚姻期間中に一方の名義で取得した財産など)であり、特有財産(一方が所有する財産)は原則として分与の対象になりません。

結婚前に有していた財産や、相続で取得した財産も財産分与の対象になりますか。

結婚前に有していた財産は、婚姻中に築いた財産にはあたらないので、財産分与の対象になりません。また、一方が相続した財産なども、特有財産にあたるので、分与の対象にはなりません。

共働きの場合、どれくらい財産分与をうけられますか。

清算の割合については、財産形成や維持への寄与度によって決することになりますが、共稼ぎや、妻が夫の事業に協力している場合は、妻の寄与度を原則2分の1と考え、特段の事情があればその割合を加減するという考え方が一般的です。

住宅ローンが残っているのですが、どうすればいいでしょうか。

分与の方法については、どちらかが不動産を取得して住宅ローンの返済を続ける方法、親族からの資金援助による方法もありますが、資金的余裕がない場合は、分与時における不動産の時価からローンの残元金を控除する方法で不動産価額を決定し、売却し、売却金額を財産分与するという方法もあります。しかし、住宅ローンの返済を続ける場合は、金融機関との手続きが複雑になりますので、専門家とご相談することをおすすめします。

財産分与や、慰謝料の支払いを確実にしてもらうためには、どうすればいいですか。

離婚時に合意した財産分与等が行われない場合は、民事訴訟を提起したうえで強制執行をすることができます。しかし、訴訟をするのは時間も手間も費用もかかり大変です。協議離婚をする場合、離婚時にあらかじめ財産分与や慰謝料支払いに関する約定を公正証書にしておくと裁判による判決を経ずして強制執行をすることができるので、執行認諾文言がある公正証書を作成しておくことをおすすめします。

離婚をすると年金はどうなりますか。

年金の種類(公的年金のうち、厚生年金と旧共済年金)によっては、年金分割ができる場合があります。
婚姻中、給料から年金保険料が天引きされていた場合、保険料を納めていた方(給料をもらっていた方)に年金保険料を納めたという記録がたまっています。年金分割とは、離婚するときに、夫婦に公平になるようにその記録をわけあう制度です。

離婚後でも年金分割の申し立てはできますか。

離婚後2年以内であれば年金分割の申立ができます。

子どもについて

次に子供についてです。

未成年の子どもがいるのですが、離婚をするときに取り決めておくべきことは何ですか。

婚姻中は、子どもの親権は父母が共同で行使するのが原則ですが、離婚した場合は、どちらか一方の単独親権となります。なので、離婚をするときには夫婦のどちらが親権者となるのかを決めなければなりません。

親権、監護権とは何ですか。

親権とは、子を監護、教育するために父母に認められた権利義務をいいます。監護権とは、親権のうち身上監護権、すなわち子の心身の成長のための教育を中心とする権利義務の総称です(財産管理権や法律行為の同意権は監護権には含まれません)。監護権は本来親権の一内容をなすものですが、離婚をする場合に、監護権と親権を切り離して、監護権者と親権者を別に定めることができます。

夫婦いずれも子どもを引き取りたいと主張しています。母親に収入がなくても、母親が親権を得ることはできますか。

裁判所における親権者指定の判断は、「子の利益」に適うかが基準となります。具体的には、親側の事情(監護能力、精神的・経済的家庭環境、居住・教育環境、実家の資産、従来の監護状況、子に対する愛情、親族の援助の可能性)、子側の事情(年齢、性別、兄弟姉妹関係、心身の発育状況、環境への適用状況、子の意向)を総合考慮して判断されています。
一般的には、子どもが幼いほど母親の監護が必要と判断される場合が多く、専業主婦であっても、多くの場合は母親に親権が認められます。

夫婦いずれも子どもを引き取りたいと主張しています。浮気をした有責配偶者であっても、親権者となることはできますか。

裁判所における親権者指定の判断は、「子の利益」に適うかが基準となります。具体的には、親側の事情(監護能力、精神的・経済的家庭環境、居住・教育環境、実家の資産、従来の監護状況、子に対する愛情、親族の援助の可能性)、子側の事情(年齢、性別、兄弟姉妹関係、心身の発育状況、環境への適用状況、子の意向)を総合考慮して判断されており、離婚の有責性はあまり考慮されません。

現在別居中ですが、配偶者が子どもを連れ去ってしまいました。子どもをつれもどすにはどうすればいいでしょうか。

裁判所に調停・審判を申し立てて、子の引渡請求をすることが考えられます。審判前の保全処分として、家庭裁判所に子の引渡しの申立てをすることもあります。

離婚後、子どもが相手方配偶者と同居することになったとしても、会うことはできますか。

色々な考え方がありますが、子どもの監護養育をしていない親が子どもと面会をするのは、親として有する固有の権利であり、両親の愛育を求める子の権利としての性質もあると考えられています(面会交流権)。
離婚にあたり、子どもの面会について相手方と協議がととのわなかった場合であっても、子との面会交流の調停・審判を家庭裁判所に申し立てて、子どもとの面会を求めることができます。面会交流を認めるべきかは、子の福祉の観点から判断されます。

離婚すると、子どもの姓はどうなりますか。離婚をしても、自分も子どもと同じ姓を名乗り続けることはできますか。

離婚をしても、子の氏は変更されません。
離婚後、子どもを引き取った方が、婚姻前の氏に復した場合(例:離婚により母親は結婚前の旧姓を名乗ることになったとき)、子どもも自分と同じ氏を名乗らせたい場合には、家庭裁判所に子の氏の変更許可申立を行います。
あるいは、離婚後も、子どもを引き取った方が婚姻中の姓を名乗ることを希望する場合には、婚氏続称の届出をすることによって、子どもと同じ姓を名乗り続けることができます。

養育費について

未成年の子どもがいるのですが、相手方配偶者に養育費をいくら払ってもらうことができますか。

生活費や教育にかかる費用など、子どもがその家庭の生活レベルに相応した成長をすることができるため必要な費用を養育費として払ってもらうことができます。
父母での話し合いで決まらない場合は、父母の収入を基準に、下記の算定表に基づき算定するやりかたが定着しています。
https://www.courts.go.jp/toukei_siryou/siryo/H30shihou_houkoku/index.html

養育費の支払いを確実にするためにはどうすればいいですか。

養育費の支払いは長期にわたることが通常です。支払いの確実性が低いなど特別な事情がある場合は、あらかじめ一括払いをしてもらうという方法も考えられますが、離婚をするときに、養育費の支払いについて、執行受諾文言付公正証書を作成しておくことをおすすめします。

離婚をして、私が養育費を払っていますが、私の収入状態が悪化し、当初合意した養育費の支払いが難しくなりました。養育費の減額をしてもらうことはできますか。
当事者の合意や、調停・審判で取り決めた養育費の額を変更するには、取り決め当時には予想できなかったような事情の変更が必要です。養育費の増減額が必要な場合で、当事者同士で合意することができなければ、調停や審判を申し立てることができます。

事実婚について

入籍をせず、事実婚をしています。離婚(関係解消)において、慰謝料を求めたり、財産分与を求めることはできますか。
事実婚は、法律上は内縁関係ととらえられます。事実婚も、婚姻届をだしていないだけで婚姻に準じる関係と考えられるので、法律婚と同じように貞操義務や同居協力扶助義務、婚姻費用負担義務等がみとめられることがあります。
なので、浮気など一方当事者に責任がある原因により関係解消に至った場合には、損害賠償責任を追及して慰謝料を請求することができる場合があり、法律婚時の離婚に伴う財産分与に準じ、財産分与を求めることができる場合があります。

外国人との離婚について

次に外国人との離婚についてです。

配偶者が外国人です。離婚の手続きを教えてください。

夫婦の一方が日本人で、その日本人の常居所が日本である場合、日本法に従って離婚をすることができます。したがって、協議離婚をする場合は、届出人の本籍地又は住所地で離婚届を提出することになりますが、夫婦の一方である日本人が常居所を日本に有することを示すため、住民票を添付することが必要となります。夫婦の一方が協議離婚に応じない場合は、日本人同士の離婚と同じように、家庭裁判所に離婚調停の申し立てをし、調停が成立しない場合は、離婚訴訟を提起することができます。このような手続きにより、日本国内での離婚を成立させることができます。

離婚した場合、外国人配偶者の在留資格はどうなりますか。

日本人と結婚した外国人が、「日本人の配偶者等」という在留資格で在留していた場合、離婚をすると当該在留資格該当性がなくなります。離婚後も外国人が日本に在留することを望む場合、6か月以内に、定住者ビザ、就労ビザ・留学ビザ等へ在留資格を切り替える必要があります。

調停離婚・審判離婚について

調停離婚・審判離婚についてです。

どういうときに離婚調停を申し立てたらいいのですか。

離婚調停とは、夫婦当事者では離婚の協議ができないときに、裁判所に間にはいってもらって、離婚をするかどうか、および、離婚の条件等について話合いをする手続きです。当事者だけでは協議離婚の合意に達しないときに、離婚調停を申し立てることになります。調停では、調停委員が互いの言い分を聞き調整するので、基本的には、当事者が顔を合わせることはありません。

弁護士を依頼せずに、自分で離婚調停を申し立てるのは難しいでしょうか。

調停委員が間に入り、話合いの調整をしてくれるので、弁護士を依頼せずに自分で調停をすることも可能です。

調停から弁護士を依頼すると、弁護士費用がかかりますが、弁護士を依頼することで、自分の言いたいことを法的にわかりやすく整理してもらえたり、自分に不利な条件で離婚がまとまるのを防いたりすることができます。

裁判離婚について

最後に裁判離婚についてです。

弁護士を依頼せずに自分で離婚裁判をするのは難しいでしょうか。

理論上は弁護士を依頼せずに自分で離婚裁判をすることはできます。しかし、実際には、裁判手続きは複雑なので、離婚裁判になる場合は弁護士を依頼する方が少なくありません。

裁判をすれば必ず離婚できますか。

裁判をしたとしても、法定の離婚原因がなければ離婚をすることはできません。

法定の離婚原因にはどのようなものがありますか

離婚原因となりうるのは、①配偶者の不貞行為、②配偶者からの悪意の遺棄、③3年以上配偶者の生死不明、④配偶者の回復の見込みのない強度の精神病、⑤その他婚姻を継続しがたい重大事由です。

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