ビジネス実務法務入門連載、今回のテーマは条件です。

条件は、ビジネスにおいて契約書を作成する際にも多用されます。

条件は、その定め方次第で当事者に有利・不利にも働きます。

以下、その概念を説明します。

条件とは

日常用語として、「条件」という場合、たとえば、「蜃気楼は、天気・地理的環境・温度など、いろいろな条件が満たされないと発生しない」などという具合に使います。

法律概念としての条件もこれに似ていますが、もう少し精緻に定義されます。

民法における条件とは、将来発生することが不確実な事実に、法律効果の発生・消滅などをかからせる付款をいいます。

ポイントは、「将来発生することが不確実な事実」を、法律効果の発生・消滅のトリガーにしている点です。

期限との違い

条件と似て非なる概念に期限があります。

期限というのは、将来発生することが確実な事実を指します。

たとえば、「今から1年後に基本契約を失効させる」、「ペットが死んだら葬儀代を支払ってあげる」という場合の「1年後」あるいは「ペットが死んだら」という部分が「期限」に該当します。

なお、「ペットが死んだら」という部分は、一件、「条件」のようにも見えますが、生物であればいずれ寿命を迎えることは「確実」ですので、この部分は「期限」と評価されます。

これに対して、条件概念のポイントは、将来発生することが「不確実な事実」が法律効果の発生・消滅のトリガーになっている点です。

たとえば、「〇〇銀行との間で1000万円の融資契約が成立したら、売買契約の効力を生じさせる」などがその例です。

停止条件と解除条件

条件には、停止条件と解除条件の二つがあります。

停止条件とは

停止条件というのは、条件が成就した場合に法律効果を発生させる条件を言います。

「先ほどの融資契約が成立したら契約の効力を生じさせる」というのが停止条件の例です。

なお、法律効果を「発生」させるのに「停止」という用語を用いるのは、条件が付された場合、その成就まで、法律効果の発生が「停止している」ためです。

言葉の使い方がややこしいので注意が必要です。

参照:民法における「期限」及び「期限の利益」とは

解除条件とは

解除条件というのは、条件が成就した場合に法律効果を消滅させる条件を言います。

たとえば、「A社に民事執行における差押がなされたら、A社との間の双方未履行の契約を全部失効させる」といった例がこれに該当します。

停止条件と異なり、法律上の効果を消滅させる点がポイントです。

まとめ

契約書の作成などに際して、「条件」を使いこなせるかは、自社に有利な契約を作成できるかの分水嶺の一つです。

また、ある目的を達成したいときに、いかなる条件のいずれを使うかによって、契約書の構成も大きく変わります。

契約書の作成などにご不安の場合、ぜひ北九州のひびき法律事務所の弁護士までご相談ください。