複数の金融機関や消費者金融、信販会社等の貸金業者から、多額の借金を抱えてしまい、今後の経済生活に不安を感じている方は少なくありません。

この借金問題を解決するための手段の一つが、債務整理と呼ばれる手段です。

そして個人の方が行う債務整理の代表的手段としては、①任意整理、②自己破産、③個人再生、④特定調停の4つの手段があります。

①任意整理

任意整理というのは、多重債務・借金問題につき、債権者(銀行や消費者金融といった貸金業者等)と支払方法や利息のカットについて協議・合意をすることで、借金を整理する手続きです。
  
利息を払いすぎていた等の特別な事情がある場合を除き、任意整理をしたからといって、借金そのものが減るというものではありません。

しかし、任意整理がうまくいけば、月々の返済額を返済可能な範囲に抑えて、借金の返済を継続することができます。

任意整理の具体例

たとえば、借金残高が120万円である、2万円程度なら月々払えるが、現状では、毎月4万円の返済を求められており、支払を継続することが難しいといった場合を想定します。

この場合に、たとえば、毎月2万円ずつ合計5年(60か月)で支払っていくという合意ができれば、債務者(借りた方)は、借金を継続的に返済していくことが可能となります。

そこで、こうしたケースの任意整理においては、毎月の支払額を2万円(60か月払い)とする内容の合意ができないか、等を依頼を受けた弁護士と貸金業者などが協議することになります(もちろん、各ケースにおいて月々の金額や返済期間は異なり得ます)。

なお、任意整理を行う場合、月々の返済金の調整の他、多くのケースで将来利息のカット(場合によっては弁護士介入後の利息のカットも)を受けられます。

この場合、月々の支払いを継続する限り、利息が付加されないため、返しても、返しても借金が減らないといった状況を防ぐことが可能です。

②特定調停

特定調停というのは、簡易裁判所の調停手続を利用して、債権者(貸主)と債務者(借主)とが、借金問題の話し合いを行い、返済方法の合意をすることで、借金を整理していく手続きです。

特定調停は、話し合いによる解決を図る点で、任意整理と同質です。

特定調停では、主として月々の返済金額、返済期間が主要な協議の対象となり、多くの場合、月額の返済金額・返済期間を定めた合意による解決が図られます。

任意整理と比較した場合の特定調停の特徴

特定調停は、話し合いによる解決を図る点で任意整理と同質ですが、大きく異なる点もあります。たとえば次のような点です。

・簡易裁判所の調停委員の関与・主導の下で協議を進められること

・債権者が協議に応じない、話し合いが整わない場合に、簡易裁判所が調停に代わる決定という処分(相当性のある返済計画を裁判所が定める処分)をなしうること

・調停手続における合意が記された調停調書等には、執行力が付与されること

上記のうち、特に、債務者(借主)が返済計画通りの返済継続を怠った場合に、債権者(貸金業者等)が調書に基づいて、強制執行の手続きを採りうるとされていることには注意が必要です。

これは、借主側にとっては、任意整理にはない特定調停のデメリットといえます。

③自己破産

自己破産手続というのは、自己の財産を清算し、貸金業者などが有する一般的な債権(借金)を無くす手続きです。

細かく言えば、自己の借金を清算する手続きを破産手続といい、借金を無くす手続きを免責手続といいます。

借金で苦しむ方にとって、自己破産手続(免責手続を含む)の最も大きなメリットは、免責(借金を無くす)点にあります。

そして、多くの自己破産手続は、この免責を得るために申し立てがなされています。

自己破産の検討に際して

借金がある人なら誰でもが自己破産手続を採れるというわけではありません。また誰でも免責を受けられるという訳ではありません。

そもそも自己破産手続を採るには、収入や資力、信用などに照らして、支払継続ができる状態にない事等の条件を満たしていることが必要です。免責についても、法律で条件(免責不許可事由(exギャンブル等))が定められています。

また、自己破産手続では、一定の基準を満たさない資産は換価(売却等)の対象にもなります。

たとえば、資産価値のある不動産(居住している不動産を含む)や車両などが換価の対象です。自己破産手続は、このような資産を維持したいという場合には向きません。

自己破産を採るには、上記のような免責のメリット・自己破産のデメリット、免責可能性等を慎重に考慮し・検討することが必要になります。

④民事再生

民事再生手続というのは、裁判所において、借金の一部カットやカット後の残債務の返済計画などを定めた再生計画の認可をえることで、借金を整理する手続です。

個人の民事再生(個人再生)についていえば、通常の民事再生手続の他に、給与所得者再生・小規模個人再生という個人の再生に則した手続も整備されており、これらの手続がとられることが多くなっています。

民事再生手続(個人再生手続)では、自己破産のように借金を無くすということはできないものの、借金を大幅に減縮(カット)することが予定されています。そして、債務者は、圧縮後の残った借金を返済していくことになります。

自己破産手続との違い

民事再生手続(個人再生手続)は、借金が一部残ると言う点で、免責により借金が無くなる自己破産手続とは大きく異なります。

ただ、民事再生手続(個人再生手続)では、自己破産手続のように、当該手続において資産を換価する手続はとられません。

また、民事再生手続(個人再生手続)では、住宅ローンの特例という制度が整備されています。

一定の条件はあるものの、この制度を利用できれば、債務者は、居住している住宅のローンの返済を継続することで、抵当権の実行による競売を免れることが可能です。

民事再生(個人再生)の検討に際して

上記の様なメリット・特徴を有する民事再生手続(個人再生手続)を行うにしても、その手続を開始させるためには法律上で定められた条件を満たさなければなりません。

自己破産と同様、だれでもが民事再生(個人再生手続)を採れるという訳ではありません。

さらに、民事再生手続(個人再生手続)を採ったとしても、上記のとおり、一定程度の借金は残存します。

そして、どの程度借金が減縮され、どの程度支払っていくことになるのか、その支払いは可能かを判断するには、本人の資産状況や収入状況等を慎重に検討することが必要です。

民事再生(個人再生)を申し立てるにあたっては、上記のような個人再生手続の特徴や債務の圧縮の程度、返済可能性等を十分考慮する必要があります。