今回は、任意整理後、途中で払えなくなってしまった場合に取るべき対応について説明をします。

 

途中で払えなくなるケース

任意整理で弁護士の手続が終わり、毎月一定額の返済が開始されたところ、途中で払えなくなる、というケースは、往々にして発生します。

弁護士は、依頼者と打ち合わせの上、毎月弁済できる額を把握し、債権者と交渉をしますが、たとえば、仕事を失った、病気になってしまった、こうしたトラブルで、支払いの継続が困難になるケースがあるのです。

 

分割弁済の合意の効力がなくなる

任意整理をした場合、債権者と債務者間とでは、多くの場合、期限の利益喪失条項という条項がつけられています。

その内容は、大抵は、2回分の支払いを怠ったら、債権者が、遅延損害金も併せて一括請求するよという内容です。

任意整理前のように、債権者から元金などを弁済するよう請求がなされるようになりますし、これに遅延損害金も付加されます。

放っておけば、訴訟提起・支払督促など、法的手続が行えれる可能性が大です。

1回だけ払えないという場合について
多くの場合、期限の利益喪失条項は、「支払いを2回分怠った場合」について規定しています。この場合、遅れないに越したことはないものの、1回だけ支払いが遅れても、期限の利益は喪失しません。

 

月々の返済ができない場合の対応

月々の返済ができない場合、それが一時的なものなのか、継続的なものなのか、によって、選択すべき方針が異なってきます。

  1. 一時的に返済できないだけの場合⇒一時猶予の申入れ
  2. 継続的な返済ができない場合⇒再度の債務整理の検討

以下、それぞれ簡単に説明します。

一時的に返済できないだけの場合

毎月の弁済額のうち、2回分を一時的に返済できなくなってしまったが、ボーナス月にこれを補填できる、という場合や毎月の弁済額を加算して、短期間に弁済が可能なので、一時猶予してほしい旨を貸金業者に申し入れることになります。

ケースにもよりますが、業者としても、債務者がすぐに補填してくれるのであれば、あえて訴訟をするコストなどを掛けるよりは、支払いをしてもらったほうが良いなどの理由により、思いのほか申入れに応じてくれます。

 

弁護士との委任契約が係属している場合

弊所の運用とは異なりますが、任意整理による和解終了後も弁護士との間で委任契約が係属していることがあります。

弁護士が振込代行を行っており、事務手数料などが毎月発生しているようなケースです。

この場合、依頼者に代わって、弁護士が上記のような申入れをしてくれるはずですので、まずはその弁護士にご相談ください。

弁護士との委任契約が終了している場合

他方で、任意整理後、弁護士との間で委任契約が終了している場合ご本人から債権者宛に、猶予の申入れをしていただく必要がございます。

ご心配かもしれませんが、支払いが確実であり、滞納分が2か月程度であれば、思いのほか、申入れに応じてくれるケースは多いです。

 

ひびき法律事務所の基本的な運用
弊所は、基本的には依頼者の皆様が債権者に振り込みを行っていただくという方針で受任をしており、支払いの場面では委任契約は通常終了しています。支払場面で、別途の御費用をいただく方が、依頼者の皆様の負担になると考えているからです。ただ、その結果として、上記のような申入れは、基本的には、ご本人から債権者宛に申入れをしてただく必要がございます。ただ、既に一旦受任した案件ですので、電話などで一旦ご相談いただけると担当した弁護士からアドバイス等できるかと思います。場合によっては、別途受任することも可能です。

 

継続的に返済ができない場合

継続的に返済ができない場合、再度の債務整理を行うことを検討することになります。

まず、毎月の弁済額を減額すれば、一定の支払いが可能であり、一度目の任意整理にて合意した金額につき完済を目指せるという場合には、再度の任意整理(再和解)ができないか検討します。

月々の支払自体が困難で、完済を目指すことが難しいとなれば、別途、自己破産・個人再生手続をとることを検討することになります。

ただし、いずれの場合においても、通常、当初の任意整理にて支払った弁護士費用とは別途の費用が必要になります。