今回は、任意整理の賞与・ボーナス払いについて説明をいたします。
毎月一定額を支払っていくのが原則
任意整理は、債権者に対して、将来の利息をカットして、月々一定の金額を返済していく手続です。
たとえば、債権総額・借金の総額が180万円だった場合、月々3万円を60カ月に渡って支払っていく、といった合意を目指します。
ボーナス払いについて
上記の返済方法に加えて、例えばボーナス払いを組み込むといった方法も考えられます。ボーナス払いを行う場合に得られる結論は、これをしない場合と比較して「弁済期間が短くなる」か「月々の支払額が減る」かの二つです。
弁済期間が短くなる
たとえば、ボーナス時に、年2回のボーナス時にそれぞれ6万円を支払う(ボーナス時に3万円を加算する)といったケースを考えてみましょう。
この場合、1年間で36万円(月々の支払)+ボーナス時払いの6万円(=3万円の加算×2)の合計42万円が年間の支払額となります。
この支払いが4年継続すれば、4年間での支払総額は168万円となります。
その結果として、残12万円につき、月々3万円ずつ支払うことで、債務の完済となります
このように、ボーナス払いは債務の弁済期間を短くできる、という効果があります。
早く任意整理を終わらせたい、ブラックリストから早く解放されたい(任意整理においてブラックリストに載らなくなる(信用情報上の事故情報の記載がなくなる)のは、完済から5年~と言われています)という場合に有効です。
月々の支払額が減る
上記は、ボーナス払いの結果、弁済期間が短くなる、というケースですが、借金総額180万円を5年で返す、という弁済期限はそのままに、ボーナス時に6万円(月々の返済額に一定額を加算)する、という場合は、月々の支払額が減る、という結論になります。
5年間で年2階のボーナス時に6万円を支払うとなると、それだけで12回分60万円の返済になります。
残りは、120万円ですから、これを残りの48回(60回-12回)で払うとなれば、一月当たりの返済額は、2万5000円」となり、月々の負担額は3万円から2万5000円に減額されます。
実際の交渉においては
実際の交渉において、ボーナス時の有無は、勤め先とともに債権者から問われることが多いです。
弁済期間を短くする交渉について
賞与・ボーナスがあるなら、その時は、返済額を多くして、弁済期間を短くするよう要求されることも少なくありません。
これが依頼者の希望に沿う場合には問題ありませんが、依頼者の希望に沿わない場合や現実的でない場合には、別途債権者との交渉を行うことになります。
月々の返済額を減らす交渉について
ボーナス払いによって月々の返済額を減らす、という方法は、月々に返済できる余力が不足する、というケースに限って検討の対象とするのが一般的です。
ただ、ボーナス払いをすることを理由に、月々の返済額を減らすことを受け入れるかどうかも債権者の意向・判断によるところが大きい反面、依頼者の方で、ボーナスをストックして置いて、そのストックを月々の返済に回す、という方法も考えられるため、その交渉に拘泥するのは必ずしも合理的とはいえません。
また、そもそも、月々の返済額を減らさなくても、毎月返済ができるだけの余力がある場合は、賞与・ボーナスは、依頼者の皆様において、何かトラブルがあった時のためにストックしておいていただくほうが柔軟性は高いと思います。一定程度、溜まれば、繰り上げ返済によって、後から、弁済期間を短くするということも可能です。
複数の債権者がある場合
債権者が複数いる場合、ボーナス払いを要求する業者とそうでない業者とに分かれます。
この場合、ボーナス払い要求してくる業者の要求に応じるか、してこなかった業者にボーナス払いの提示をするか否かは、結論の衡平性や、現実の支払いの煩雑さなどを考慮にいれて判断していくことになります。