任意整理手続は、消費者金融等の債権者と、お金を借りた債務者が、話合いで借金問題を整理する手続きです。

裁判所を介さずに、債権者と交渉して、将来の利息のカット・分割払いの合意をすることで、借金問題を整理していく手続になります。元金を減額または免除してもらう手続きです。

 

【任意整理とは】
任意整理を含めた3種の借金問題解決手続につき、次の記事で各手続の特徴の比較や弁護士費用の目安などをまとめています。任意整理をご検討なら、是非一度ご参照ください。
参照:債務整理;北九州の弁護士

 

家計の把握・見直しについて

この任意整理を弁護士に依頼する際、改めて家計を把握し、見直すことをお勧めします。

もちろん、散々見直してきた、支出はぎりぎりまで抑えている、こうした相談者の方もいらっしゃいます。

他方で、支出の見直しは苦手、家計からどんな費用がいくら出ているのか、大雑把にしか把握していない、という相談者の方もいらっしゃいます。

いずれの相談者の方にとっても、改めて家計を見直してみてください。

その際の視点は、これまで行ってきた「借金の返済」を仮にしないですんだ場合、収支がどうなるか、です。

その結果得られた収支がそもそもマイナスだ、あるいは収支ぎりぎりだ、という場合には、そもそも任意整理は難しいです。別途公的給付などが受けられないか、支出減を断行してもらう必要があります。

任意整理が可能なのは、一定の余力がある、毎月弁済に回せるお金があるという場合に限られます。

家計見直しを行ってもらうことの利点

家計見直しを行ってもらうことに対する依頼者にとっての利点は、これにより債務整理の方針決定の精度が高まるという点です。

毎月の弁済資力の有無・程度は、債務整理の方針決定に大きく影響を及ぼします。

この弁済資力が十分把握できなければ、任意整理が失敗に終わってしまう可能性が高くなってしまいます。

また、家計の見直しをしてもらうと副次的なメリットもあります。

依頼者が収支を把握・理解することで、任意整理後の経済生活につき計画を立てやすくなり、その結果として、生活が安定するという点です。

また、費用の削減が実行できた場合、任意整理を行って、債務を完済した後も、そのメリットは残存します。

家計の見直し方・固定費の削減

家計における収支の改善は、収入を増やすか、支出を減らすかの二択です。それ以外にありません。

収入を増やすには、働き口を増やす、働く時間を増やす、というのが選択肢ですが、軽々に出来ることではないでしょう。

したがって、主として支出を見直す、ということになります。

私が経験した中で、依頼者がうまく支出を減らせた項目を3つ紹介します。

  • 自動車保険
    そもそも自動車が本当に必要かという点も検討対象ではあるんですが、ここでは、自動車保険を一般的な保険から、共済やネット保険など、比較的費用の安い保険に代えることで、支出が減った例があります。
  • スマートホンの通信・電話料金
    スマートホンの通信・電話料金についても、一般的なキャリアの費用から、格安スマホに代えることで、支出減が図れたケースがあります。家計によっては1万円以上、コストダウンが図れることもあり、任意整理が大幅にやりやすくなります。
  • 医療保険・生命保険
    医療保険や生命保険なども見直しのポイントです。そもそも保険加入が必要なのか、も検討材料ですが、これも、特約を限定する、共済保険などに切り替える、などの方途によって、支出の削減ができた例があります。

これらの支出減は、生活に大幅な影響がない範囲での固定費の削減になります。食費などの流動費の削減は、相談者・依頼者において、すでに相当程度行っている、というケースが多々あります。

他方で、固定費の削減については、意外と検討されていない、という場合が少なくありません。固定費の削減は、安定した支出減であり、任意整理後も依頼者にとってメリットが残存します。

 

まとめ

家計の把握・見直しは、債務整理の方針決定を左右し、任意整理の成功率・その後の支払いの可否・安定性に影響を及ぼします。

任意整理を検討される場合には、家計の把握・見直しについても、ぜひ検討することを勧めます。