今日は、弁護士の見習い、あるいは法律事務所の弟子制度ってあるのかについてです。
つれづれに。
制度として、見習い制度・弟子制度はあるか
弁護士に見習いや弟子制度ってあるのでしょうか。
結論をいえば、基本的にはありません。ただ、「弟子」あるいは「見習い」のような時期はあります。
弁護士になるための一般的なルート
弁護士になるための一般的なルートは次のようなものになります。
➀ 在学中・就職中に勉強
⇓
➁ 司法試験に合格
⇓
③ 弁護士登録(法律事務所に就職等)
➀ 在学中・就職中の勉強の段階
司法試験に合格するっために、通常は、在学中・就職中に何年間か勉強をする必要があります。大学あるいは法科大学院にて勉強しているケースもあれば、社会人として仕事をしながら勉強をしているケースもあります。
この段階で、見習い・弟子となるようなケースはほとんどありません。
ただ、司法試験合格者の中には、法律事務所に勤務をしていて、実務を学びながら、試験勉強も行うという方が一定数いらっしゃいます。場合によっては、当該法律事務所の弁護士に理論面についてアドバイスもらえることもあるかもしれません。
こうしたケースでは、当該受験者はその法律事務所の弟子のような立場(指導的立場にある弁護士に理論・実務を教えてもらえる立場)にあるといえるかもしれません。
➁ 司法試験に合格した段階
司法試験に合格すると、司法修習という研修が始まります。この司法修習では、裁判所・検察庁・弁護士会(法律事務所)の各組織において、一定期間、実務研修が行われます。
私が司法修習だったころは、裁判所で2か月、検察庁で2か月、法律事務所で2か月、実務を学ばせていただきました。
司法修習生は、弁護士など実務家そのものではありませんが、裁判官や検察官・弁護士のすぐそばで、実務を学びます。
私個人でいえば、司法修習中にお世話になった弁護士の先生に対しては、いまでも強い感謝の思いがあります。
「弟子」とか「見習い」といった表現が使われることはありませんし、そうした制度もありません。
ただ、司法修習中、弁護士実務で大事なことをたくさん学ばせていただいたので、自分はその先生の見習いとして勉強していた「弟子」の一人、という感覚がどこかにあります。
この記事を書いていて、そういえば、当時の事務所のご相談に際して、指導担当「先生のお弟子さんですか」と聞かれたことを思い出しました。
③ 弁護士登録(法律事務所に就職等)の段階
この段階では、対外的には弁護士として一人前と扱われます。自分の学んできたことを生かして、自分の責任で実務に携わる、という建前です。
とはいえ、新人の頃は、実務にまだ慣れておらず、他の弁護士の業務の仕方や相談の仕方を見て、仕事を覚えていく時期になります。
少なくとも弊所では、「ここはこうしたほうがいい」、「あの場面では、ここの確認が必要」、などOJTにて実務を学んでいきます。
そのため、矛盾するようですが、対外的には「一人前」、法律事務所の内部では「見習い」的な立場と言えるかもしれません。
結論
上記に見てきた通り、弁護士に「見習い」「弟子」という制度・仕組みは基本的にありません(基本的にと書いたのは、すべての法律事務所を私が知っているわけではないからです。)。
ただ、事実上、自分より上の先輩弁護士の立ち振る舞い・実務処理を見よう未満で覚えていく時期はあります。こうした時期は、ある意味においては「見習い」の時期といえるのかもしれません。