今日は口コミとステマの話。いわゆるステルスマーケティングが景品表示法の規制の対象となりましたのでその紹介も兼ねて。

弁護士・法律事務所の口コミ

弁護士・法律事務所も、googleの口コミ評価の対象となっています。たとえば、「北九州 法律事務所」でgoogle検索をすると、そこに口コミがずらりと並びます。

この口コミを法律事務所・弁護士選択の判断要素とすることも少なくないのではないでしょうか。

今日現在のひびき法律事務所のgoogle口コミの平均点は、5点満点中、4.8点(4件の口コミ)。ありがたい限りです。

弁護士・法律事務所の口コミの留意点

上記のように、弁護士・法律事務所の口コミは、google口コミなどの対象となっていますが、弁護士・法律事務所の口コミは、飲食店やホテルなどの口コミと、一線を画すことがあります。以下、その留意点。

一般的な口コミ

飲食店やホテルなどにおいて、「口コミ」は、お客様の満足度が高ければ、高評価が付く、というのが一般的です。そこに対立当事者は存在しません。

弁護士・法律事務所には対立当事者の口コミが混ざる

他方で、弁護士・法律事務所には、相手方・対立当事者が居ます。

たとえば、借金を返せ、と請求をする、借りている家から退去を請求する、離婚に関して、金銭を請求するなど、いずれも相手がいます。誤解をおそれずに言うと、嫌われる、恨まれることがある仕事をしなければならないこともあります。

弊所では、もちろん、依頼者の相手方に対してであっても、人格攻撃に及んだり、尊厳を害したり、といったことはしません

しかし、そうはいっても、やはり、恨まれる、嫌われる、というケースがどうしても発生します。

そして、Google口コミは、たとえ案件の相手方であっても投稿可能ですから、口コミにおいて、負のイメージ・ネガティブな情報を投稿されるということが往々にして発生しがちです。

弁護士・法律事務所の口コミを参考にする場合は、上記の属性・性質にもご留意いただければと思います。

ちなみに、今日この時点で、弊所の口コミにはネガティブ・否定的な投稿はいただいておりません。上記を弊所のネガティブ口コミに対する弁明・言い訳として書いているわけではないことはご承知いたければと思います。

ステマ規制

次にステマ規制について。

口コミ代行サービス

弁護士・法律事務所に対する口コミに限った話ではありませんが、インターネットの世界では、「口コミ代行」というサービスが存在します。

これは、インターネット上の口コミが、マーケティングにおいて強い影響を持つようになった結果、生まれてきたサービスで、一言で言えば、サービスとして「口コミ」を投稿する、というものです。

ネガティブな口コミがなされた場合に、これを打ち消す(平均点を挙げる)ために使われることもあります。

弊所にも、たまに、口コミを増加させませんか、口コミで評価をあげませんか、といった営業がなされることがあります。弁護士・法律事務所にさえ、こうした営業がなされるのです。

なお、弊所はこうしたサービスをすべて断っています。

景品表示法による規制

この口コミ代行サービスですが、その合法性は、ここ最近までグレーゾーンでした。

口コミ代行サービスは、主として、「その代行サービスで投稿された口コミが、消費者の実際の評価として閲覧者に誤認させる点」で問題があります。

ポジティブ情報がたくさん書かれる結果、事業者に操作されたものであることも分からないまま(ステルス性)、消費者・閲覧者に対して、優良なサービスだ・有利なサービスだ、と誤認させてしまうのです。

そこで、今般・景品表示法が改正され、この口コミ代行サービスに対して規制がなさることとなりました。

2023年10月1日以降、口コミ代行によるステマ行為は、景品表示法の不当表示である「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」に該当し、消費者庁や都道府県による措置命令等の対象となりました。事業者が表示内容の決定に関与したとされるものは、広告として規制の対象となります。

今後の適正化

消費者庁の公表資料では、2023年10月1日以前に投稿されたものであっても、規制の対象となる場合があるとされています。

今後、この趣旨に従って、口コミが適正かされていくかは、国・消費者庁がどの程度本腰を挙げて、この規制を適用・運用していくか、にかかっています。

ステマは、外の目からは、一件、事業主の関与が見えないため、ステマを行っているとの証拠・確証はつかみにくく、行政的な処分を行うにも一朝一夕でないことが予想されます。

矛盾しているようですが、当面は、「顕著なステマ」・「誰の目から見ても分かるようなステマ」が処分の検討対象になるにすぎないような気がしています。