全国弁護士協同組合連合会のサービスにボンド制度(保全事件「支払保証委託契約(ボンド制度)」)というのがあります。
ホームページ上では、保全事件(仮差押、係争物に関する仮処分)を行う際に、依頼者が、保証金や担保を全額用意することなく、保全事件の申請を弁護士に依頼できると謳われています。
仮処分・仮差押には担保が必要
民事事件で仮差押や仮処分を行おうとすると、多くのケースで相応の金額を裁判所に担保として納めなければなりません。
仮差え・仮処分というのは、本案で決着がつく前に、一定の状況を保全しようというものです。債務者の損害の引き当てという趣旨と,濫用的な保全の申立の防止のために求められます。
この担保となる金額が必ずしも小さいものでなく、個人を依頼者とするような場合、担保の準備が困難な場合があります。
こうした場合を想定して設計されているのが「ボンド制度」です。漢字で書くと、「支払保証委託契約制度」と書くようです。
全国弁護士協同組合連合会のボンド制度
ボンド制度は、上記のように担保を準備できないようなケースでの利用が想定されています。以下、ホームページ記載の情報を整理。
URL:https://www.zenbenkyo.or.jp/service/bond.php
ホームページ・パンフレットからの説明によると、この制度の下では、「本制度は、保全事件の「仮差押え」「係争物に関する仮処分」手続きを行う際、裁判所から発令の条件とされる担保提供として保険会社が保証書を発行する制度」とのことです。
「婚姻等に関する審判事件を本案とする仮差押え」も対象にできるとの事。
ただ、無料ではありません。保証料(手数料)がかかります。
保証料の額
保証料(費用)は、保証額を以下の金額で区分しそれぞれの区分に応じた料率を保障額に乗じた結果を合算した値です(5年分)。
保証額 1円から300万円まで 6%
300万円超から3000万円以下 4%
3000万円超 2%
たとえば、保証額が500万円の場合には、【300万円×6%=18万円】+【200万円×4%=8万円】の合計26万円が保証料となるようです。
ちなみに、この保証料は事件終了予定期間5年までの場合の保証料。事件の終了が5年を超える場合、5年経過毎に契約当初の保証料に対して、半額が延長保証料として必要になるとの事。
また、事件が5年以内に終わっても、保証料の返却はないとのこと。
活用場面
上記保証料率は、個人が銀行から借り入れて担保を準備する場合に比すると、廉価と言えるかもしれず、活用できる場合もありそうです。
「パンフレットによると、本制度をご利用いただいた弁護士の約92%の方が、本制度に満足いただいております!」と記載されています。
これを鵜のみにしていいのかは分かりませんが、利用しうる場面があれば検討したいと思います。