今日は、弁護士の領収証・契約書に関する印紙についてです。

たまにお問合せいただきますので、整理しておきます。

領収書・契約書に関する一般的な印紙税

高額な商品やサービスに関する領収証や契約書を受け取るとき、そこに印紙が貼ってあることがあると思います。

税法において、印紙税をおさめなさい、となっているためです。

我々が見る印紙税としては、不動産トラブル等において、請負契約書を見るときに、印紙が貼ってあることが多いですね。請負代金が高額となる為、印紙を負担する必要がある。

弁護士が発行する領収書に印紙を貼ることは必要か。

弁護士が発行する領収書に印紙を貼ることは必要でしょうか。

たとえば、相手から勝ち得た和解金や強制執行で得たお金を依頼者にお支払いするといった場合に、これに印紙が必要か、という問題です。

これ、結論において不要です。理由は、つぎのとおりです。

印紙税法第5条において、「営業に関しない受取書」は非課税とされている。「受取書」はいわゆる領収書のことです。

そして、国税庁の通達により、弁護士がその業務上作成する受取書は「営業に関しない受取書」として取り扱うとされている。

したがって、弁護士が発行する領収書には、印紙を貼る必要は無いという結論になります。

そのため、依頼会社の経理の方や経営者の方からお問合せいただいた際には、「弁護士の領収証には、印紙不要なんです」と説明しています。

ちなみに、そもそも法律相談料が1万円を超えるということはあまりなく(30分5000円+税が基本料金のため)、法律相談の領収証に関して印紙の問題が生じることはほとんどありません。

弁護士の委任契約書に印紙を貼ることは必要か。

次に「委任契約書」についてです。弁護士に訴訟追行等の仕事を依頼するとき、弁護士と依頼者との間で締結されるのが委任契約です。

そして、その委任契約を証する書面が委任契約書になります。

この委任契約書を作成するに際して、印紙は必要でしょうか。

結論において不要です。理由は以下のとおり。

印紙税法において、印紙税を納めるべき契約書は法定されています。たとえば、請負契約は、印紙税を納めるべき課税文書に該当します。

他方で、「委任契約書」については、印紙税を納めるべき契約書として規定されていません。そのため、非課税文書となります。

請負契約か委任契約かは、「仕事」「成果物」があるか否かによって判断されるところ、たとえば、訴訟追行の結果得られる「判決」は裁判所が作るもので、ここにいう成果物には該当しません。

そして、一般に、弁護士による訴訟追行や示談交渉は、委任契約に基づくものです。

したがって、結論として非課税文書であり、印紙を貼ることは不要と解されます。

なお、弁護士との契約であっても、それが「委任契約」でない場合はその限りではありません。別途、課税文書に該当するかの検討が必要ですので注意してください(たとえば、論文作成に関する契約であれば、委任契約には該当しない)。