弁護士として仕事をしていると、幸いなことに、個人あるいは法律事務所宛にお客様からお礼状や贈答品をもらうことがあります。

他方で、贈答品など受け取れない場合もあります。以下、つれづれに。

手紙・メール

お礼としてもらうことが一番多いのは、手紙やメールです。

受け止め

弁護士として、仕事をしていて、解決済みの事件で、自分としてはうまく解決できたつもりなんだけど、○○さん(依頼者)実際どう感じたんだろう、と考えているようなときに、お礼状がきたりすると、とてもうれしい気持ちになります。

また、少年事件では、忘れたころに、少年から近況報告があったりもします。このなかで、今、こうして頑張ってます、みたいなことが書いてあると、本当に励みになります。

弁護士宛礼状の書き方・宛名

インターネットなんかを見ると、お礼状の書き方やメールの書き方、について検索される方が多いようです。

私個人としては、どんな形でもいいと思いますが、一応、述べるだけ述べておくと、書き出しは「○○先生」が圧倒的に多いです。次に多いのは「○○様」ですかね。

ただ、どちらでもよいと思います。

内容は、固い文面となっているものから、くだけたものまで様々です。

贈答品・プレゼント

また、贈答品やお礼の品などをいただくことも多いです。

これらの贈答品などをいただくと、良い関係のまま、無事案件が解決したんだ、と思えますし、次への励みにもつながります。

ちなみに、私個人宛名義でご送付いただいた品であっても、分けられるお菓子なんかだと、事務所全体で分け合って、事務員とともにいただくことが多いです。

贈答品などを受け取れない場合

弁護士として、贈答品を受け取れない場合というのもあります。

国選弁護の場合

たとえば、国選弁護活動をしていた場合の被疑者や被告人の方からの贈答品・プレゼントです。

国選弁護の場合、弁護士費用は国から費用が支出されています。そして、それ以外の金品をもらってはいけない、というのがルールです。

弁護士職務規程の第49条に「弁護士は、国選弁護人に選任された事件について、名目のいかんを問わず、被告人その他の関係者から報酬その他の対価を受領してはならない」との規定があります。

これに違反すると、弁護士は懲戒される可能性がありますので、国選弁護の場合、贈答品などは受け取れないわけです。

事件の相手方から贈答品など

事件の相手方からの、贈答品などももちろん受け取れません。

弁護士は依頼者のために動きます。依頼者の相手方から贈答品などを受け取ると、依頼者との信頼関係が破壊されますから、これを受け取ることはできません。

ルールとしても、弁護士職務基本規定53条で「弁護士は、受任している事件に関し、相手方からの利益の供与」を受けてはならない、とされています。

これを受け取ると、弁護士の誠実性や公平性が疑われるため、禁止されているわけです。

法律事務所に送付されてきた場合、受け取ることができない旨記載して返送する、のが一般的対応になると思います。「お気持ちだけ頂戴して」というのも書かないことが多いです。

ちなみに、贈答品をテーマにしましたが、たとえば、レストランなどで事件の相手方と会う場合に、相手方から、「コーヒー代はこちらで払っておきます」などと言われることもあります。これも、同じ理由から、受けられないということになります。