相続分を他人に渡す(あげる)ことは可能か。
遺産分割調停が始まったとき、相続人の中には、「親(被相続人)の介護を頑張ったBにより多く相続してもらいたい。だから、相続分をBに渡したい。」と考える人もいます。
このような場合に、相続人は、他の相続人に相続分を譲渡することはできるのでしょうか。
結論
相続分を他人に渡すことは可能です。
相続分の譲渡
相続分の譲渡とは、被相続人の死亡により相続人に承継された権利及び義務を第三者又は他の相続人に対し包括して譲渡する契約のことです。
この契約は、積極財産(プラスの財産)と消極財産(マイナスの財産)の両方が遺産前提に対する割合的な持ち分が移転することになります(最判平成30年10月19日民衆72巻5号900頁,最判平成13年7月10日民衆55巻5号955頁参照)。
※消極財産(債務)の譲渡は、債権者に対抗できないことに注意です。
相続分の譲渡の手続き
相続分の譲渡は、あげる人ともらう人の個人的なやり取りになります。相続分を譲渡したい人は、相続分を譲渡した上で、
①相続分譲渡証明書、②相続分譲渡届出書、③即時抗告権放棄書、④印鑑証明書を遺産分割手続きが行われている家庭裁判所に提出すると、手続きから排除されることになります。
さいごに
遺産相続の問題は、親族間のわだかまりから法的問題など、紛争が終了するまでに解決しなければならない課題が多くあります。少しでも遺産相続についてお悩みであれば、弁護士にご相談されてください。
北九州小倉の法律事務所であるひびき法律事務所では、若手弁護士からベテラン弁護士まで在籍しており、遺産相続について様々なお悩みに対応可能です。ご気軽にご相談ください。