はじめに

 自筆の遺言書(自筆証書遺言)が自宅の仏壇の引き出しから見つかった場合、その後、見つけた人や相続人はどのようなことをしなければならないのでしょうか?本稿では、自筆証書遺言を見つけた相続人・遺言の保管者がとるべき遺言書の検認について説明します。

民法の規定

 遺言書の保管者や発見者は、相続開始を知った後、遅滞なく、家庭裁判所に遺言書を提出して検認を受けなければなりません(民法1004条1項)。
 ※公正証書遺言は、遺言書の検認は不要です(民法1004条2項)。
 ※自筆証書遺言のうち、法務局に保管されている自筆証書遺言も遺言書の検認は不要です。

遺言書の検認

 遺言書の検認とは、自筆の遺言書の現状を保存することです。遺言書の検認が行われると、家庭裁判所は遺言書をコピーするなどして裁判所の記録に残します。
 遺言書の検認は、遺言による不動産取得の相続登記や金融機関での相続手続きで必要となる場合があります。そのため、遺言内容の相続を実現するためには、遺言書の検認がとても重要となります。

遺言書を検認する家庭裁判所はどこ?

 遺言書を検認する家庭裁判所は、遺言者の最後の住所地の家庭裁判所でする必要があります。

遺言書検認に必要な戸籍等

 遺言書検認に必要な書類は以下のとおりです。
①申立書
②遺言者の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
③相続人全員の戸籍謄本
④遺言者の子(及びその代襲者)で死亡している方がいらっしゃる場合,その子(及びその代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
 以下は、相続人が誰かにより必要な書類が異なります。
【相続人が遺言者の(配偶者と)父母・祖父母等(直系尊属)(第二順位相続人)の場合】
 遺言者の直系尊属(相続人と同じ代及び下の代の直系尊属に限る(例:相続人が祖母の場合,父母と祖父))で死亡している方がいらっしゃる場合,その直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
【相続人が不存在の場合,遺言者の配偶者のみの場合,又は遺言者の(配偶者と)兄弟姉妹及びその代襲者(おいめい)(第三順位相続人)の場合】
・遺言者の父母の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
・遺言者の直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
・遺言者の兄弟姉妹で死亡している方がいらっしゃる場合,その兄弟姉妹の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
・代襲者としてのおいめいで死亡している方がいらっしゃる場合,そのおい又はめいの死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本

法律事務所・弁護士に依頼できること

 遺言書の検認のための戸籍収集・遺言書検認の申立てを依頼することができます。
 その後の、遺言執行者としての業務も依頼することができます。

さいごに

 遺言書の検認は、相続人によっては、収集しなければならない戸籍が多くなり、大変な作業になります。そのため、遺言書を作成する場合には、遺言書の検認を必要とする自筆証書遺言を作成するのか否か、それとも公正証書遺言にするのかを踏まえ、弁護士にご相談ください。
 北九州・小倉の法律事務所であるひびき法律事務所では、若手弁護士からベテラン弁護士まで在席しており、相続に関する様々なお悩みに対応可能です。お気軽にご相談ください。