はじめに

 遺言による遺贈・相続により、遺留分が発生しそうな場合があっても、実際に遺留分を請求できる人に該当するかは別問題です。そこで、本稿では、遺留分を請求できる人は誰か?ということについて解説したいと思います。

遺留分権利者を定める民法の規定

民法1042条1項柱書

 遺留分を請求できる人を定める民法1042条1項柱書は、以下のように定めています。
民法1042条
1項 兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次条第一項に規定する遺留分を算定するための財産の価額に、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合を乗じた額を受ける。

兄弟姉妹(きょうだい)は遺留分を請求できる?

 1042条1項柱書には、「兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として・・・額を受ける」と定めています。そのため、兄弟姉妹は、遺留分を請求できる人にはあたりません。

胎児は遺留分を請求できる?

 胎児は、まだ生まれていないため、遺留分を請求できる人に含まれないと思われるかもしれません。
 しかし、1042条1項柱書は「兄弟姉妹」と規定しており、胎児も相続については生まれているものとみなされます(民法886条1項)。そのため、胎児も遺留分を請求することができます。
 ※死産の場合、胎児は遺留分を請求することができません(民法886条2項)。胎児は、条件付きで遺留分の請求が認められるということです。

相続欠格・廃除・相続放棄の場合は遺留分を請求できる?

 相続の欠格・廃除・相続放棄の場合、相続人でないと扱われます。そのため、民法1042条1項柱書に定める「相続人」に当たりません。したがって、相続欠格・廃除・相続放棄をした人は遺留分を請求することができません。

代襲相続人は、遺留分を請求できる?

 代襲相続人は、相続権を有しており、かつ、被相続人との関係で問題のない家族であるため、遺留分を請求することができます。

遺留分請求にあたり、弁護士に依頼できること

 弁護士には、下記のこと等を依頼することができます。
 ①様々な贈与・売買が遺留分算定の財産に含まれるのかいなかについての判断(最終的な結論は裁判所がだします)
 ②遺留分がいくらになるのかの計算
 ③遺留分を侵害している相手方に対して請求

さいごに

 遺留分の算定は難しく、専門的知識が必要です。また、遺留分請求には時効がさだめられており、急がなければなりません。そのため、少しでも遺産相続について気にかかることがございましたら、お気軽にごそうだんください。
 北九州・小倉の法律事務所であるひびき法律事務所では、若手弁護士からベテラン弁護士まで在籍しており、遺産・相続などの様々なお悩みに対応可能です。ご気軽に相談予約のお電話をされてください。