遺産分割の方法
遺産分割の方法には、下記の方法があります。
①現物分割
②代償分割
③換価分割
④共有分割
本稿では、それぞれの方法を説明します。
分割方法の視点
分割方法には、上記のような方法がありますが、家庭裁判所は、当事者の意思に拘束されることなく後見的立場から決めることができます。もっとも、実際の運用において、分割方法について、どれを選択するかを決める際には、各当事者の意向を聞き、可能な限り当事者の意思を尊重する運用をされていることが多いです。
現物分割
現物分割とは、個々の財産の形状や性質を変更することなく分割するものです。現物分割は、その性質上できる限り現物を相続人に受け継がせるのが望ましいという相続の性質からすると、遺産分割の原則的な方法ともいうことができます。
土地の現物分割
土地を分筆する方法です。
地又は建物の一部を分筆,区分して取得する旨の合意が成立した場合、その登記手続の際、土地については地積測量図(不登令別表第8項・添付情報イ)、建物については建物図面及び各階平面図(同別表第12項・添付情報イ,ロ)を添付しなければなりません。そのため、前記図面を別紙として調停調書に添付し、調停条項においてその取得部分を特定する必要があります。地積測量図には、方位・地番・隣地の地番並びに地積・求積の方法及び境界標等を記載する必要があるので必ず地積測量を行う必要があります。
非上場株式の分割
非上場株式とは、証券取引所に上場していない会社の株式のことを意味します。多くの中小企業や親族により設立された同族企業などがあたります。
話し合い・具体的相続分に応じて、非上場株式を割合に応じて現物分割することが多いです。
代償分割
代償分割とは、一部の相続人に法定相続分を超える額の財産を取得させた上で、他の相続人に対する債務を負担させる方法です。
代償分割は、「特別の事情」があると認められるときに、現物分割の代わりに行うことができます(家事法195条)。
換価分割
換価分割とは、遺産を売却等で換金(換価処分)した後に、価格を分配する方法です。
換価分割は、協議による場合や、換価を命ずる審判・裁判により行われることがあります。
協議に基づく換価分割は、物分割が困難で、代償金支払能力の不足や取得希望者がいない等の理由で代償分割もできない場合に、当事者の合意に基づき、換価代金を分割対象財産とすることを前提として、第三者に売却し、その代金を分配する方法です。
共有分割
共有分割は、遺産の一部・全部を具体的相続分による民法上の共有を取得する方法となります。
共有関係を解消する手続きは、共有物分割訴訟(民法258条)となります。
さいごに
遺産分割の方法はさまざまであり、どの方法を採用した方がより望ましい結果になるかは、最終的な目的によります。ご自身の望まれる遺産分割の結果にするためにも、一度、弁護士にへご相談されることをおすすめします。
弁護士に相談することはハードル高いかもしれませんが、相談にいらした方の多くは「もっと早く相談にくればよかった」とおっしゃっています。取り返しがつかなくなる前に、気軽にご相談ください。
北九州・小倉の法律事務所であるひびき法律事務所には、若手からベテランまで在籍しており、様々なお悩みに対応可能です。気軽に相談へいらしてください。