問題の所在
被相続人(亡くなった方)には、借金1000万円と土地建物(価格500万円)が相続財産としてありました。
被相続人の相続人である人達が全員相続放棄した場合、相続放棄した人達ははじめから相続人でなかったとみなされます(民法915条)。しかし、被相続人の土地・建物は残ったままです。この場合、被相続人の土地建物はどうなるのでしょうか?
相続財産管理人
裁判所は、利害関係人・検察官の申立により相続財産管理人を選任します。相続財産管理人は、被相続人(亡くなった方)の債権者等に対して被相続人の債務を支払うなどして清算を行い、清算後残った財産を国庫に帰属させることになります。
申立に必要な資料
申立に必要な資料は、以下のとおりです。
・被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
・被相続人の父母の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
・被相続人の子(及びその代襲者)で死亡している方がいらっしゃる場合、その子(及びその代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
・被相続人の直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
・被相続人の兄弟姉妹で死亡している方がいらっしゃる場合、その兄弟姉妹の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
・代襲者としてのおいめいで死亡している方がいらっしゃる場合、そのおい又はめいの死亡の記載がある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
・被相続人の住民票除票又は戸籍附票
・財産を証する資料(不動産登記事項証明書(未登記の場合は固定資産評価証明書)、預貯金及び有価証券の残高が分かる書類(通帳写し,残高証明書等)等)
・利害関係人からの申立ての場合、利害関係を証する資料(戸籍謄本(全部事項証明書),金銭消費貸借契約書写し等)
・財産管理人の候補者がある場合にはその住民票又は戸籍附票
どのような流れになるの?
1 家庭裁判所は、相続財産管理人選任の審判をしたときは、相続財産管理人が選任されたことを知らせるための公告をします。
2 1の公告から2か月が経過してから、財産管理人は、相続財産の債権者・受遺者を確認するための公告をします。
3 2の公告から2か月が経過してから、家庭裁判所は、財産管理人の申立てにより、相続人を捜すため、6か月以上の期間を定めて公告をします。期間満了までに相続人が現れなければ、相続人がいないことが確定します。
4 3の公告の期間満了後、3か月以内に特別縁故者に対する相続財産分与の申立てがされることがあります。
5 必要があれば、随時、財産管理人は、家庭裁判所の許可を得て、被相続人の不動産や株を売却し、金銭に換えることもできます。
6 財産管理人は、法律にしたがって債権者や受遺者への支払をしたり、特別縁故者に対する相続財産分与の審判にしたがって特別縁故者に相続財産を分与するための手続をします。
7 6の支払等をして、相続財産が残った場合は、相続財産を国庫に引き継いで手続が終了します。
さいごに
相続人の方が被相続人の財産を売ったりすると、法定単純承認をしたとしたして借金まで相続してしまうことがあります。このようなことを起こらないようにするためには相続財産管理人の選任申立が必要です。ご自身で書類をそろえるのが難しい場合は弁護士を探すのもいいかもしれません。
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