宗教法人の財産についてのQ&A
Q宗教法人にはどのような財産がありますか?
宗教法人の財産としては、特別財産・基本財産・普通財産の種類があります。
特別財産とは、宗教にとっての信仰に直接かかるものや、宗教活動に欠かすことのできない什物などがあります。
基本財産とは、宗教活動を行う上で必要なものであり、境内や建物などの不動産などです。
普通財産とは、特別財産・基本財産以外の自アさんをいいます。
Q 宗教法人は、特別財産・基本財産・普通財産を代表役員の一存で売ることはできますか?
宗教法人は、代表役員の一存で特別財産・基本財産を売ることはできません。 宗教法人法23条では、一定の手続きが必要な行為を定めています。
①不動産または財産目録に掲げる宝物を処分し、または担保に供すること
②借入(当該会計年度内の収入で償還する一時の借入を除く)または保証すること
③主要な境内建物の新築、改築、増築、移転、除却または著しい模様替えをすること
④境内内の著しい模様替えをすること
⑤主要な境内建物の用途もしくは境内地の用途を変更し、またはこれらを宗教法人法2条に既定する目的以外の目的のために供すること
Q どのような手続きを踏めば、宗教法人法23条所定の行為を行うことができるのですか?
宗教法人法23条所定の行為を行うためには、規則に定めてある手続きを行う必要があります。規則は、各宗教団体により定めがことなるので、自身の規則をお確かめください。
Q 規則に「公告」が必要ってあったのですが、「公告」とはなんですか?
公告とは、信者その他の利害関係人にその旨を周知することです。
宗教法人法12条2項では、「宗教法人の公告は、新聞紙又は当該宗教法人の機関紙に掲載し、当該宗教法人の掲示場に掲示し、その他当該宗教法人信者その他の利害関係人に周知させるに適当な方法でするものとする」と定めています。そのため、公告の方法として、新聞紙・機関紙の刊行物で広く知らせることなどがあります。
Q宗教法人法23条の一定の手続が行われなかった場合どうなるのですか?
これについて、宗教法人法24条は、「宗教法人の境内建物若しくは境内地である不動産又は財産目録に掲げる宝物について、前条(法23条)の規程に違反してした行為は、無効とする。但し、善意の相手方又は第三者に対しては、その無効をもつて対抗することができない」と規定しています。
これは、「原則として、宗教法人法23条に違反して行われた行為は無効。しかし、例外的に、行為の相手方・第三者が法23条違反(手続きをしていないこと)を知らない場合、宗教法人は相手方・第三者に法律行為が無効であると主張することができない。」という意味です。
さいごに
宗教法人の財産を処分する場合、様々な手続きを踏む必要があり、この手続きを行わなければ行為が無効になる可能性があります。そのため、宗教法人の財産を処分する場合、一度、弁護士に相談されるのをおすすめします。
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