1 事案(名古屋高裁令和2年1月16日)

原告XがYに土地の使用貸借(無料で貸すこと)は終了したということを主張し、Yに建物から出て行くことを求めた事案。XがYを訴えた。

A===夫(死亡)

X===妻

B===C(離婚済み)

Y

2 時系列

平成10年 Aの夫死亡

平成10年 BとCは離婚

平成14年 Xは、Bに、本件土地を無償で貸す(使用貸借)

平成14年 Bは、本件土地の上に建物を建築し、AとB同居。

平成29年 B死亡、Aは施設に入所、Yは建物の所有権を相続により取得

(Yは、この時点までCの所に住んでいる)

平成29年 Bの死亡後、Yは、本件土地上の建物に住み始める。

 

3 争点

高裁における争点は、①使用貸借が成立していれるか否か②目的に従った使用収益が終わったことによる本件使用貸借契約が終了しているか、③借主死亡により使用貸借が終了したかいなか、④信頼関係破壊による本件使用貸借が終了したかいなか(旧民法597条2項の類推適用)です。

4 裁判所の判断(長いため要点だけ摘示)

①について

裁判所は、Yの主張する「本件建物の建ぺい率60%及び容積率200%の関係で、本件土地を含めて申請しない限り、建築確認がとれない」という根拠が証拠により確認できないと認定しました。また、Yの主張する、「本件土地を占有していた」という主張に関して、写真による証明がある限度で使用貸借を認めると認定しました。

したがって、裁判所は、使用貸借の成立についてYの主張を限定的に認めています。

②について

原審(名古屋地方裁判所半田支部平成31年3月26日判決)の判示のとおり、目的に従って使用収益が終わったことにより、使用貸借は終了していない。

③について

判示なし

④について

Yは、平成27年12月頃まで本件建物において、AとBと同居していたときには、親権者であるBの監護の下に本件建物に居住し、鍵も所持していなかった。そのため、Yは、この時期においてBの占有補助者(占有を手伝う人)に過ぎない。また、Yは、平成27年12月から交際相手の家へ転居しており、平成29年6月になるまで本件建物に住んでいなかった。Yは、Xに無断で本件建物に住み始めており、XとYの人的関係は悪化している。また、Aは施設に入所しており、Yと交流はない。

これらの事実を踏まえると、XとYとの間の信頼関係は破壊されているから、旧民法597条2項ただし書の類推適用により、本件使用貸借は解約することができる。

5 最後に

使用貸借は、無償で使わせてあげるというものであり、親族間でよくみられる法律関係です。親族間の関係が良好であれば問題はあまり起きませんが、借主の死亡や親族間の関係の悪化により急に問題が生じたりします。

親族間であることから書面を交付していなかったり(口約束である場合がおおいです)、その他の資料が全くなかったりする場合が多く、紛争が長期化したりします。

使用貸借の問題にお悩みの場合は、一度、北九州市小倉のひびき法律事務所の弁護士までご相談ください。

以上