マンションという語は、本来は豪邸を指す用語でしたが、日本では販売業者のイメージ戦略として使われた用語法が、今では中小規模の集合住宅を指すものとしてすっかり定着してしまい、法律(例えば『マンション管理適正化法』)でも使われるようになっています。
マンション問題について
ここで特にマンション「問題」というのは、賃貸マンションを除いて、分譲マンションのことを言います。
というのは、賃貸マンションの場合であれば会社であれ個人であれ単独の建物所有者が居て、その賃借人がいるという関係で、通常の賃貸借契約の問題に過ぎないのに対して、分譲マンションの場合は、区分所有法という特別の法律に基づいて、各居室をそれぞれが所有し、敷地はみんなの共有という特殊な法律関係の下にあるからです。
このような分譲マンションの法律関係=区分所有関係は、様々なマンション問題を発生させてきました。それは何よりもわが国は基本的に木造住宅ですから、集合住宅といってもせいぜい平屋の棟割長屋の経験しかありません。
ところが現在のマンションは、垂直方向にも住戸が積み重なって遙かに多数の戸数を有しています。
そのような居住形態であることによって必然的に発生する様々な問題(例えば、共同の管理費用をどのように負担するか、共同空間をどのように利用するか、生活用水や排水、あるいはゴミ処理をどのように共同して処理するか・ペットをどのように飼育するか、等々)について、あまりにも経験が不足していたことに根本的な原因があったと言えます。
しかしこの区分所有法が最初に制定されたのは昭和37年(1962年)ですから、既に50年以上の歳月が過ぎ、分譲マンションの実数も平成25年末時点で610万戸を超えたと言われています。
その間に膨大な紛争事例があらわれ、多数の裁判例が積み重ねられてきました。今では、紛争類型別に裁判例の整理・集積が進み、解決の方向がかなり見通せるようになってきています。
当事務所では
当事務所では、昭和の頃から数多くのマンション裁判を担当して経験を蓄積してきました。
他方で、過去の裁判例を集積して分析し、多くの出版物(『Q&Aマンション法ハンドブック』(ぎょうせい)・『わかりやすいマンション判例の解説』(民事法研究会)・『マンション紛争の上手な対処法』(前同))の編集・発行にもかかわっており、そのノウハウを蓄積しています。