欠陥住宅訴訟について

欠陥住宅訴訟について購入した住宅に欠陥があるという場合、買主側と売主側とで、瑕疵の修補や損害の回復を求めてトラブルになるケースがあります。

こうしたトラブルをめぐって発生する訴訟が欠陥住宅訴訟です。

欠陥住宅の裁判は、以下の2点において、医療過誤の裁判と極めてよく似た側面を有しています。

1 専門的な技術・知識を必要とする 

2 専門家の協力なしには裁判ができない

専門的な技術・知識を必要とする

まず1「専門的な技術・知識を必要とする」について説明します。

普通の木造住宅(これを在来木造軸組工法といいます)を例に取ると、屋根、柱、壁、基礎は一般用語としても使用されており、建築の知識が無い人でも分かります。

しかし、建築紛争の裁判では、梁(はり)・桁(けた)・筋交(すじかい)・火打(ひうち)・根太(ねだ)・束(つか)・垂木(たるき)・大引(おおびき)・鎹(かすがい)・土台(どだい)など、日本の大工さんならではの用語がたくさん出てきます。

また同じ基礎とは言っても、布(ぬの)基礎・べた基礎の違いは多くの人が知りません。

さらに住宅の種類は、木造住宅以外にプレハブ工法(これには鉄骨系・木質系・コンクリート系と3種類あります)ツーバイフォー工法・鉄筋コンクリート工法(RC造)、鉄骨鉄筋コンクリート工法(SRC造)、鉄骨工法(S造)工法などいろいろな工法があり、それぞれの構造の基準があります。

裁判をするにしても、請求をする側において、このような専門用語を当然に理解し、使いこなさなければなりません。そのため、建築裁判をするには建築の知識と経験が不可欠です。

専門家の協力なしには裁判ができない

次に2「専門家の協力なしには裁判ができない」についていうと、裁判官に事案を理解してもらうためには、建築士による調査報告書が不可欠です。

住宅問題の専門家といえば建築士ですが、医師とは違って、わが国には1級建築士、2級建築士、木造建築士、施工監理技師などの資格・専門家があり、人数的にみても80万人とも言われていますので、医師に較べれば遙かに多くいます。

しかし、この多さが問題で、殆どとまで言うと言い過ぎかも知れませんが、多くの建築士は、建築業者から仕事をもらっているという立場になっています。

ところが欠陥住宅訴訟となると、消費者(発注者)が建築業者(請負者)を訴えるお手伝いをすることになるため、協力をすることに尻込みする建築士が多いのが実態です。

さらに鑑定書・調査委報告書を作ってもらうにも知識と経験が必要ですが、これを備えた建築士は極めて限られているのが実情です。

となると、協力をしてもらえる建築士との人脈がないことには、欠陥住宅訴訟に取り組むことは困難といわざるをえません。

当事務所について

当事務所では、従前より、精力的に欠陥住宅の問題に取り組んでいます。もちろん、十分な知識と経験をもつ建築士と連携を図りながら欠陥住宅の問題に取り組むことが可能です。