給与・退職金の遺産相続について

突然の事故や突発性の病気で被相続人が無くなった場合、被相続人の給料や退職金が未払いの状態となっていることがあります。

今回はこの給与や退職金の遺産性についてです。

給与の相続について

まず、給与についてです。

給与も遺産となる

被相続人が亡くなった場合に、未払いの給料債権がある場合、これも遺産となります。

たとえば、被相続人が亡くなった時に30万円の給料債権があったという場合、配偶者と子二人が法定相続分通りに給与を分けるとすれば、配偶者が2分の1の15万円、子がそれぞれ4分の1ずつの7万5000円ずつを相続することになります。

この未払い給与を会社に請求する場合、あまり厳密な処理をしない会社においては、給与を従前の被相続人名義の通帳に振り込むこともあります。こうした処理が行われた場合、相続人らは、当該預金を遺産分割の対象に含めることになります。

他方で、給与について厳密な取り扱いをする会社においては、相続人ら全員の同意を得るべく、受取人や相続人代表者の届の提出が求められます。

受取人の届

受取人の届には、たとえば、つぎのように記載されます。

代表受取人欄
甲は、貴社の従業員であった○○○○の死亡及び退職にあたり、同人の法定相続人を代表して、未払い給与・賞与を受け取ります。
甲 ○○○○配偶者 山田花子
他の相続人の記載欄
乙1および乙2は、貴社の従業員であった○○○○の死亡及び退職にあたり、同人の法定相続人代表者を上記山田花子とし、同山田花子が未払い給与・賞与を受け取ることにつき、承諾いたします
乙1 ○○○○長男  山田一郎
乙2 ○○○○次男  山田次郎

なお、上記のような受取人の届を提出するには、全相続人の協力が必要です。

相続人間で紛争が生じたり、相続人間において身元が不明の者がいたりすると、別途法的な手段・手続が必要となり、受取までに相当程度時間がかかることがあります。

退職金と相続について

次に、退職金についてです。

退職金も相続の対象となる

退職金も、受取人などの定めがなければ給与と同様、遺産となります。

配偶者と子二人が相続人であるというケースで、法定相続人分どおりに分けるとすれば、配偶者が2分の1の割合の退職金を、子らが4分の1ずつの割合で退職金を受け取ることになります。

また、退職金については、1か月分の給与と異なり、退職金は相当程度多額になることもあり、厳密な処理をしている会社が多いです

そのため、上記と同様、往々にして、受取人の届の提出を求められます。

なお、相続人間で退職金を分割する方法につき、協議が整わない場合、他の遺産と同様、当事者間で遺産分割協議や遺産分割調停などの手続をとることになります。

死亡退職金につき受取人の指定がある場合

上記は、退職金について特段、受取人の指定がないことを前提としていますが、会社によっては、被相続人が死亡により死亡したケースについうて、就業規則などで受取人を定めていることがあります。

この場合、死亡退職金を受け取るべき人は、当初より定められているのであって、その権利は、受取人の固有の権利ということになります。

したがって、死亡退職金の受取人が定められているケースでは、死亡退職金は遺産分割の対象にはなりません。

上記のケースで、配偶者が受取人として指定されている場合、退職金は配偶者の固有の権利となります。

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