相続・遺言に関する業務

相続案件は、弁護士が一般的に取り扱う案件の一つです。ひびき法律事務所(北九州)でも、これまで多くの相続案件を取り扱ってまいりました。

一口に相続と言っても、案件の内容は多種多様であり、業務の内容も多岐にわたります。

そこで、本記事では、相続に関し、弁護士が取り扱う業務の内、代表的な業務を紹介します。

遺産の承継・清算について

まず、遺産の承継・清算に関わる弁護士の業務をご紹介します。

遺産分割協議等について

遺産分割は、相続に関し、弁護士が取り扱うことの最も多い案件の一つです。

遺産分割というのは、お亡くなりになった方(以下、被相続人といいます)の遺産を相続人らで分割することをいいます。

弁護士への相談内容

この遺産分割に際して、弁護士がよく相談を受けるのは、次のような内容です。

・自分の具体的な相続分を知りたい
・遺産分割協議書を作成してほしい
・遺産分割協議につき、立会い乃至取り纏めをしてもらいたい。
・法定相続人を調査してほしい
・遺産の調査をしてほしい
・話し合いでは解決できないので、法的な手続きを採りたい

その他、被相続人から相続人の一人に生前贈与が有った場合や、相続人の一人が被相続人に経済的な援助をしていたような場合、遺産分割に際して、こうした利益の移転をどのように調整すればよいか、法的なアドバイスを求められることもあります。

また、生命保険等が別途存在する場合に、当該生命保険による保険金をどのように考えたらよいのか、助言を求められることも少なくありません。

その他、遺産分割に際して、遺言の内容・解釈を巡る相談や、遺産の範囲を巡る相談を受けることも往々にしてあります。

遺産分割協議

遺産を分割するための手続きとして、最も代表的な手続に位置付けられるのが遺産分割協議です。遺産分割の内容を協議・話し合いで決定する手続を遺産分割協議と言います。

遺産分割協議を成立させるためには誰がどの遺産を取得するのか、相続人の全員が納得する形で協議をまとめることが必要です。

また、遺産分割協議がまとまった場合、その内容を明らか・明確にするため、往々にして書面を作成します。この書面のことを遺産分割協議書といいます。

弁護士は、特定の相続人を代理して、遺産分割協議における交渉を行う、遺産分割協議の内容を証する遺産分割協議書の作成を行うなどの業務を行います。

遺産分割調停・審判

遺産分割協議は、法定相続人全員が納得する形でなければまとまりません。

他方で、ケースによっては、感情的な対立が激化している、意見の相違が激しくなっている等の理由により、単純な話し合いでは遺産分割協議を成立させることができない、ということがあります。

こうした場合に利用されるのが、家庭裁判所における遺産分割調停です。

遺産分割調停においては、公正な第三者である調停委員関与の下、相続人間の話し合いが行われ、相続人間の意見の調整が図られます。

そのため、調停外での任意の話し合いで解決しなかった遺産分割の問題が、調停の場で解決するということも少なくありません。

また、遺産分割調停でも問題が解決しない場合には、さらに遺産分割審判という手続も準備されており、紛争の終局的な解決までの手続が整備されています。

この遺産分割調停や審判手続において、弁護士は、法律の専門家たる立場で、依頼者を代理・支援する役割を担っています。

遺留分にかかる請求について

遺産分割の他、相続人に関し、弁護士が担う役割の大きい案件の一つが、遺留分減請求を求める案件です。

被相続人の配偶者や子供等は、それぞれ、一定の割合において、被相続人の遺贈や生前贈与、遺言によっても侵害されることのない一定の割合における相続の権利を有しています。

この権利を遺留分と言います。

遺留分が問題となることが多い類型は、全財産を相続人の一人に全て相続させる等の遺言が有るケースです。また、特定の相続人に偏った生前贈与がなされている場合にも、遺留分の侵害が問題となり得ます。

遺留分減殺請求の場面は、その性質上、感情的な対立が激しくなることが往々にしてあります。そのため、しばしば、第三者ないし裁判所を介さなければ手続きが進まないという状態になりえます。

弁護士は、遺留分が問題となる場面において、依頼者を代理してその手続を追行します。

相続財産清算人の選任

弁護士が相続に関して受任するケースは、「相続人がいる」というケースに限られません。

ケースによっては、遺産や負債はあるが、相続人が存在しない、という場合があります。

たとえば、子も配偶者も兄妹もおらず、すでに両親が他界して、身寄りのなくなった被相続人がお亡くなりになったが、遺言書もなく、相続人が誰もいない、というような場合です。

こうした場合に、被相続人の遺産や負債を清算する業務を行うのが、家庭裁判所が選任する相続財産清算人です。

また、被相続人に対して、金銭を貸していた等の債権者が、その返済を求めて相続財産清算人制度を利用することもあります。

また、相続財産管理人に関する法制度の下では、被相続人の生活を家族のように支えてきた特別縁故者に、一定の範囲の財産を分与することが認められ得るため、特別縁故者たる立場の方が、相続財産管理人の選任を求めることが少なくありません。

もっとも、相続財産管理人の申立てをするには、一定の法律上の知見が必要です。そこで、弁護士は、依頼者から依頼を受けて、この相続財産管理人の選任の申立てを支援する業務を行っています。

上記に挙げた遺産分割、遺留分減殺請求の他、弁護士が相談を受けることが多いのは、①「使い込み」が問題となるケース、②相続放棄等、③相続財産管理人の選任等の案件です。

相続放棄など

相続と一口に言うとプラスの財産の承継をイメージする方が多いかもしれませんが、法律上、相続は、被相続人のプラスの財産のみならず、マイナスの財産、すなわち負債も同時に承継するとされています。

相続放棄

被相続人が莫大な借金を抱えていたような場合、単にこれを相続すると、相続人は、その借金を引き継ぐことになります。

もっとも、民法は、相続人に、そもそも相続をしない、という選択をすることを認めています。

これを相続放棄といいます。相続放棄をした場合、相続人は、プラスの財産も受け取れない反面、マイナスの財産(借金・負債)を引き継ぎません。

限定承認

また、さらに、民法は、一定の条件の下、プラスの財産の範囲内でのみ、マイナスの財産も承継する、との選択をすることを認めています。

これを限定承認といいます。

弁護士の業務

相続放棄・限定承認を行うには、家庭裁判所において、所定の手続きを経る必要があります。

その際には、相続放棄の申述書や、被相続人が生まれてからお亡くなりになるまでの戸籍など、必要な書類を裁判所に提出することが必要です。

弁護士は、相談者の依頼を受け、これらの手続を全面的に支援します。

「使い込み」が問題となるケース

家族や親族が被相続人の生前、その財産を管理していた場合、当該管理をしていた家族や親族が、被相続人の預金や財産等を使い込んでいるケースがあります。

特に、生前、被相続人の判断能力が著しく衰えた状態が長期に渡って続いていたような場合に、使い込みの金額が大きな額となることが往々にしてあります。

こうした使い込みがなされたケースにおいて相続が発生した場合、他の相続人らが救済を得ようとすれば、使い込みをした相続人が不当に利得をしたとしてその返還を求める手続等をとることになります。

もっとも、実際の裁判では、この問題はそれほど簡易には解決しません。

他の人間からみれば「使い込み」と見られるケースでも、真実においては、使い込みではなく、被相続人から贈与を受けたケース、被相続人の意思に基づいて支出していたケースなどもあるからです。

また、使い込みは、生前に行われる場合のみならず、被相続人がお亡くなりになった後、遺産を管理していた相続人の一人が勝手に遺産・預金等を使い込む、というケースも散見されます。

相続人がお亡くなりになった後のケースにおいては、使い込みの程度や財産の内容に応じて、遺産分割の手続での解決や民事的な手続における紛争解決等を志向することになります。

遺言に関する業務

また、弁護士は「遺言」に関する業務も取り扱っています。

遺言書の作成

遺言に関するもっとも代表的な業務は、遺言書の作成支援です。

法形式に問題の無い遺言書を作成するのは弁護士としては当然です。

ひびき法律事務所では、遺言書の作成業務につき、遺言者の意思を最大限反映することを目的に、依頼者を支援します。

遺言書の検認・執行

また、弁護士は、検認が必要な遺言書につき、相続人の方々の代理人として、検認手続を代理して追行します。

遺言の内容によっては、遺言書の内容を実現するため、弁護士が、遺言執行者に就任します。

遺言執行者に就任した場合、弁護士は、遺産の調査などを行った上、金融機関などとの関係において、遺言の内容を実現するための実際の手続を行うことになります。

ご相談は弁護士まで

以上、遺産分割、遺留分減殺請求、相続人による「使い込み」が問題となるケース、相続放棄等、相続清算人の制度等を紹介してきました。

もっとも、相続に関する業務はこれらに限られるものではなく、これら以外にも、弁護士は、相続に関する様々な案件を業務として行っています。

相続に関し、意見対立・紛争が発生しているような場合や、相続に関してご不安・ご不明な点があるという場合には、是非一度、弁護士にご相談ください。

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