今回は、特別養子縁組と相続についてです。法定相続人を確定する際に、通常の養子縁組が特別養子縁組かで法律上の効果が異なります。
特別養子縁組について
特別養子縁組は、➀養子となる子供と実親との間の法律上の親子関係を解消するとともに、➁養子と養親との間に法律上の親子関係を成立させる制度です。
➁については、普通養子縁組と同じですが、特別養子縁組の場合、養子となる子供と実親との間の法律上の親子関係を解消する点に、特徴があります。
※なお、特別養子縁組を行うための要件も厳格です。
実体要件 | 実父母による子の監護が著しく困難又は不適当であること等の事情がある場合に、子の利益のため特に必要があること |
同意要件 | 実父母の同意(但し、実父母による虐待などがあり、子の利益が著しく害する事由がある場合などは不要とされることがある。) |
養親要件 | 養親が父母として共同で縁組をすること。父母のどちらか一方が225歳以上であること。 |
養子要件 | 養子縁組の審判請求時に子供が15歳未満であること(例外として15歳となる前から養親となる者が監護していた場合は、18歳まで可。) |
監護要件 | 養親となる者が養子となる子を6ヵ月以上監護していること |
養子となる子供と実親との間の法律上の親子関係を解消
特別養子縁組の特徴の一つは、「養子となる子供と実親との間の法律上の親子関係を解消」する点にあります。
たとえば、特別養子縁組により、Aさん夫婦の実子であるBさんが、Cさん夫婦の養子となった場合、Bさんは、Aさんが他界した際、Aさんを相続しません。
Aさんの法定相続人がほかに居る場合、法定相続人らは、Bさんを除いて遺産分割協議等を行うこととなります(相続分についてもBさんを除外して考える。)。
さらに、たとえば、Aさん夫婦にBさん以外の子(Bさんの兄弟)がいるという場合に、Bさんが、その子につき、兄弟として相続することもありません。Aさん夫婦との親子関係が消滅し、Aさん夫婦を起点とする親族関係が消滅するからです。
特別養子縁組の制度においては、上記の通り、原則として実親との関係で親子関係は消滅します。ただ、これには例外もあり、配偶者のある者(たとえば夫)が、当該配偶者の嫡出子の養子となる場合、当該配偶者と子との間との親族関係は終了しません。
養子と養親との間に法律上の親子関係が成立
また、養子縁組を行うと、養親と養親との間に親子関係が成立します。
そのため、たとえば、養親Aさんが亡くなった場合、養子Bさんは、当該養親Aさんの法定相続人となります。Aさんに他に実子がいる場合、Bさんは、他の実子と等分に相続権を有します。
また、このケースで、Bさんに子(直系卑属)が無く、Bさんが他界した場合、AさんはBさんの親として、Bさんを相続することとなります。
さらに、Aさんの実子であるBさんの兄弟が亡くなった場合、当該兄弟に直系尊属・直系卑属がいなかった場合、Bさんは、当該兄弟について相続人として相続権を有します。